がんになっても -がんの治療を、その人「らしい」生活のなかで。-

アストラゼネカ

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乳がん・前立腺がん・肺がんを中心に患者さん・ご家族の体験談、高額療養費制度などの情報を紹介

私からのメッセージ

高垣 忠一郎さん
私のがんは、何かに気付かせるための神様からの贈り物。

Vol.2 病気と向き合い、恐怖や苦しみを通して初めて聞こえてくるメッセージがある

清も濁もすべて受け入れるインドへの旅。

勇ましくがんと付きあってみると宣言したのはよいのですが、やっぱり恐ろしいという気持ちがあったのでしょう。ほどなく持病の耳鳴りがひどくなり、「このひどい耳鳴りに一生取りつかれて逃れられなくなる」という恐怖と閉塞感から、たびたび夜に目が覚め、パニックを起こしそうになることもありました。そんなときは、窓を開けて月や星空を眺めて気持ちを鎮めたものです。職場(大学)で半年間の休暇制度が適用になったこともあり、インドへ行こうと思い立ったのはそんな頃でした。がんになって死の恐れに直面し、それに反発するかのように高揚していた生の充実感が落ち着きはじめ、新たな刺激を求めていたのかもしれません。

ガンジス川では、水浴びをしていると人や動物の死体が流れてくる。その横で子ども達が嬉々として遊んでいる。死後の自分を燃やすための薪を求める人もいる。どの街もいたる所にゴミの山があって、お世辞にも衛生的とは言えない。貧富の差も大きい。すべてがあるがまま。生も死も表裏一体で厳然とそこにある。でもそこには大きな包容力があって不思議と安らぐのです。「あなたはあなたのままでいて大丈夫。何の問題もないよ」と言われているような...。

贈り物は苦しみという包装紙に包まれている。

帰国後、前立腺の全摘手術を受けたいと医師に申し出ました。インドへの旅を通じて、がんや死ぬこととしっかり向きあって、自分の心の奥底と対話をすることができ、「今、何が嫌なのか、本当は何を恐れているのか」に気付いたのです。それは死ぬことではなく、病気が自分をどんどん卑小にしていくことなのだと。ホルモン療法を続けながら、がんの増殖の兆候を表すPSA検査値に一喜一憂している自分。画像検査で新たな影の出現に怯えている自分...。そうやって数字や検査の結果を追いかけたり、気にしたりしているうちに、それに囚われて自分らしさを次第に失くしている、それがたまらなく嫌で苦痛と思っている。そこで、手術で前立腺を切り取ってしまえば少しはすっきりするかな、と決断したのです。手術後、切り取られた前立腺がゆらゆらと暗い海の底に沈んでいくイメージが頭に浮かび、「さよなら、さよなら」と別れを告げている自分がいました(笑)。

「神様は人間にすばらしい贈り物をくださる。ただしそれは苦しみという包装紙に包まれている」という言葉があります。苦しみを安易に避けていては、神様からのギフトはいつまでも手に入れることはできない。そのことを身にしみて感じました。

皆さまの体験が誰かの生きる力になります

「自分らしくがんと向き合う皆さんの姿、想い」
「患者さんからご家族への想い」「ご家族から患者さんへの想い」

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