乳がんの体験談

悩みや不安を抱えたときにどのようにがんと向きあえばよいのか。
自分らしくがんと向きあう患者さんやご家族の体験談・メッセージなどをご紹介します。

みなさまの
体験談
患者
  • がんの治療を継続中

乳がん 58歳 女性 会社員

あれは2007年の2月の終わり。健康診断を初めて受けに行ったのです。それまでは健康にはかなりの自信があり、健康診断は毎年パスしていたのですが、たまたま職場の同僚から「もう、あなたも年なんだから1度ぐらい受けに行ったら」と言われ、「1度ぐらいは受けて見ようか」と、軽い気持ちで受けに行きました。

 検査のほとんどは上々の結果でしたが(胃カメラも初めてにしてはうまく飲めたし)、マンモグラフィの結果について少々気になることを言われました。「良性か悪性かは分からないが腫瘍らしきものがあるので精密検査をお勧めします」

 でも、そのときの私は「どうせ脂肪の固まりかなんかに違いないわ。精密検査なんてめんどくさー」といった感じでさっさと帰ってしまったのです。それから2日後、不安を覚えて精密検査を受けに行きました。結果は乳がん。直径1センチちょっとぐらいで、先生からも「これくらいならリンパ節への転移もほとんど心配ありませんよ」と言われたほどですが、手術してみたらリンパ節への転移もあり、最初、分かったのとは別のところにもがんができていたので、乳房の4分の1切除と、右脇のリンパ節切除となりました。

 後は6週間の放射線療法、3週間に1度の抗がん剤治療を4回と、薬を変えて(1週間に1度の抗がん剤治療を3回して1回休み)×3と、その年いっぱいはハードな治療が続きました。

 放射線療法の副作用で右脇の下にやけどができてジュクジュクになったり、その時期に高いところへ手を上げすぎて脇の下の筋を1本切ってしまったり…。手術の2週間後には退院し、その約2週間後には職場に復帰し、治療の疲れからか眠くなってボーッとしたり、髪の毛は抜ける、暑いのにカツラはかぶる、胸は悪くなる…。思い出せば散々な日々でした。

 でも、あのとき「行ったら?」と言ってくれた同僚の言葉と、「行ってみよう」と思った私の気持ちが一致したからまだ早いうちに乳がんが見つかったのです。これくらいですんで良かった、と思うと共に、同僚に感謝する毎日です。

勇気づけられた言葉、場面

入院して間もない頃に、病院に置いてあった本を眺めていたら、茂木健一郎さんの脳内生理学についての記事があって、「脳は、楽しもうと思えばどんなことでも楽しめる器官である」というような言葉がありました。


 それはとても心強く元気の出る言葉でした。どんなことでも自分にとってかけがえのない体験として、積極的に受け入れ、楽しんでいこうと思えるようになったのです。脳にはほかにもいろいろ面白い特徴があります。自他の区別がつかない、現実と非現実の区別がつかない等、まさかと思うようなこともありますが、なるほどと思うところもあります。もっと、いろんな勉強がしたくなります。