胃がんの体験談

悩みや不安を抱えたときにどのようにがんと向きあえばよいのか。
自分らしくがんと向きあう患者さんやご家族の体験談・メッセージなどをご紹介します。

みなさまの
体験談
患者
  • がんの治療を終了し、定期的な検査通院中

胃がん 58歳 男性 パート・アルバイト

市民病院の診察室でいきなり「ステージIVの胃がんです」との告知。がん=死ということばが全身を駆け回った。主治医の先生が胃がんの状況を説明してくれていたが、私は漠然と聞き流している状態だった。私の肩を軽くポンと叩き、胃を全摘し食道と十二指腸をつなげる手術しかないといわれた。
胃の全摘手術を受けた。生まれてからいろいろな飲み物や食べ物を消化してくれた胃袋との別れの日だ。約4時間あまりで手術は終わり、ナースセンター前の集中治療室に移された。静脈からの点滴と酸素マスクをつけ、絶対安静の状態が1週間続いた。鼻がつまり、口呼吸になってしまったため、舌が倍ぐらいに膨れ上がりとても苦しかった。看護師の妻が1日おきに来てくれ、手際よく鼻と口をきれいにしてくれてとても助かった。
機械音がなく、怖いくらい静かな病室に移された。天井に染みがあり、私にはその染みが魔王のように見えた。毎日目を開けるとその魔王は私の目に飛び込んできた。「この部屋から出られたらお前は大丈夫だ」。そんな感じで私に語りかけてくるようだった。
病気になる前は1回の食事に掛ける時間は15分くらいだったが、胃がなくなってからは40分以上かかるようになった。今まで食事は楽しいものと思っていたが、苦痛を感じるものへと変わっていった。
体力回復のリハビリを経て、退院することができた。退院してからは月1回の通院と毎食後の抗がん剤治療をおこなっている。

勇気づけられた言葉、場面

看護婦長さんの「あなたは頑張り屋さんだから、その頑張りがあればがんを撃退できるよ」という言葉が今でもよみがえってくる。