どんな治療がある?マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療:
再発・難治性と診断された方

再発が認められた場合や難治性の場合には、基本的に薬物療法が治療の選択肢となります1)

再発は再びがん細胞が増えてきた状態、
難治性は治療で改善がみられない状態1)

治療の効果が得られると、がん細胞は少なくなります。しかし、治療がうまくいったようにみえても、残っていたがん細胞が再び増殖を始め、症状が出てくると「再発」という状態になります。
また、治療を始めても改善がみられず、治療の効果が安定または進行と判定される状態を「難治性」と呼びます。

再発・難治性ともにがん細胞(病変)の広がりなどや患者さんの全身状態をみて、次の治療を考えます。現在、わが国の診療ガイドラインでは、再発・難治性に対する薬物療法として、以下の薬剤が推奨されています。

再発・難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対する治療の推奨薬剤

分類 特徴
化学療法
(抗がん剤)
アルキル化剤 がん細胞増殖の鍵となる遺伝子などに作用して、がん細胞を攻撃する
代謝拮抗薬
白金製剤
ホルモン療法 ステロイド リンパ球を傷害する効果が期待でき、他の薬剤と一緒に使用される
分子標的薬 ブルトン型チロシンキナーゼ
(BTK)阻害剤
B細胞の増殖にかかわる信号を出すBTKという物質に作用して、がん細胞が増えるのを抑制する
CD20モノクローナル抗体 薬剤である抗体ががん細胞の表面にある特定のマーク(CD20)にくっつくことで、免疫細胞などががん細胞を攻撃する(免疫療法とも呼ばれる)
プロテアソーム阻害剤 細胞内で不要になったタンパク質を分解する酵素に作用して、がん細胞のアポトーシスを誘導する

一般社団法人日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版)より作成

若い方では造血幹細胞移植も選択肢に1-3)

前の治療として自家造血幹細胞移植(自家移植)が行われておらず、患者さんの年齢や全身状態などから実施可能と判断された場合、自家移植は一つの治療選択肢となります。また、自家移植を行った後に再発した場合には、他の方(ドナー)から造血幹細胞移植を受ける「同種造血幹細胞移植(同種移植)」が治療の選択肢になります(再発・難治性の場合の同種移植は、目安として60歳以下の方が対象と考えられています)。

「同種移植」は、薬物療法による移植前処置を行い、ドナーから提供された造血幹細胞を輸注します。同種移植ではドナーの造血幹細胞を移植するため、患者さんの免疫細胞がドナーの血液細胞を異物と思って攻撃する拒絶反応や、ドナーのリンパ球が患者さんの臓器を攻撃して起こる移植片対宿主病いしょくへんたいしゅくしゅびょう(GVHD)が起こる可能性があります。それを回避するために免疫抑制剤による治療が必要ですが、免疫力を取り戻すまで時間がかかり、感染症のリスクが高くなります。

同種造血幹細胞移植:
ドナーの造血幹細胞を移植

①移植前処置:薬物療法によるがん細胞の排除と拒絶予防、②輸注:ドナーから造血幹細胞を移植、③免疫抑制剤による治療など、④生着:造血幹細胞が骨髄に生着、退院
  • 一般社団法人日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版).
  • 日本造血細胞移植学会ガイドライン委員会 編:造血細胞移植ガイドライン 悪性リンパ腫(成人)(第3版), 2019年1月.
  • 国立がん研究センター:がん情報サービス 造血幹細胞移植の実際.
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct02.html [2025年6月30日アクセス]