どんな病気?マントル細胞リンパ腫(MCL)
とは

マントル細胞リンパ腫(MCL)は、白血球の中のリンパ球の一つであるB細胞ががん化する病気です1)
白血病などと同じく血液がんであり、悪性リンパ腫に分類されます1)

※MCLは、英語の「Mantle Cell Lymphoma」の略です。

マントル細胞リンパ腫(MCL)は悪性リンパ腫の一つで、
B細胞ががん化する病気1-3)

血液を構成する細胞(血液細胞)の一つである白血球は、病原体などから体を守る役割を担っています。白血球には役割の異なる複数の細胞があり、大きく骨髄系とリンパ系に分かれます。そしてリンパ系にはリンパ球としてB細胞、T細胞NK細胞があります。

悪性リンパ腫はこのリンパ球ががん化する病気で、がん細胞の形態や性質により100種類以上の病型(タイプ)に分類されます。MCLは悪性リンパ腫の一つで、リンパ球のB細胞ががん化したものです。

※がん化とは、さまざまな原因で生じた遺伝子の変異により、異常な細胞が増殖してしまう状態です。血液細胞に起こったがんは、「造血器腫瘍」とも呼ばれます。

造血幹細胞と血液細胞 
-マントル細胞リンパ腫(MCL)は
B細胞ががん化する

マントル細胞リンパ腫(MCL)はB細胞ががん化、悪性リンパ腫はリンパ球ががん化
一般社団法人日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版)
一般社団法人日本血液学会 編:血液専門医テキスト 改訂第4版, 南江堂,2023より作成

リンパ節の「マントル層 (マントルたい)」で異常なB細胞が増える4,5)

人間の体の中には、全身の組織から集まったリンパ液が流れるリンパ管と、リンパ管が合流する部分にあるリンパ節があります。このリンパ節はリンパ管から流れてきた異物が処理されるとともに、B細胞が集まって分化・成熟する場所でもあります。

集まったB細胞は濾胞ろほうという構造をつくり、さらに分化・成熟の過程で胚中心やその外側に「マントル層」と呼ばれる部分ができます。MCLはこの「マントル層」という場所で異常なB細胞が増える病気です。

※マントル(mantle):マント(外套)のように周囲を覆う構造であることから、このように呼ばれています。

リンパ節の構造とマントル層

マントル層で異常なB細胞が増える=B細胞のがん化 胚中心:B細胞の分化・成熟が起こる場所 マントル層:濾胞の外側を覆う部分 濾胞:多数のB細胞が集まって形成される場所
一般社団法人日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版)より作成
  • 国立がん研究センター:がん情報サービス MALTリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫など.
    https://ganjoho.jp/public/cancer/B_lymphoma/index.html [2025年6月30日アクセス]
  • 国立がん研究センター:がん情報サービス がんという病気について.
    https://ganjoho.jp/public/knowledge/basic/index.html [2025年6月30日アクセス]
  • 国立がん研究センター:がん情報サービス 悪性リンパ腫.
    https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html [2025年6月30日アクセス]
  • 一般社団法人日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版).
  • 冨永邦彦ほか:日内会誌 1994;83(6):867-870.