どんな病気?マントル細胞リンパ腫(MCL)
の症状

マントル細胞リンパ腫(MCL)でみられる症状と、症状が出やすい部位についてご紹介します。

マントル細胞リンパ腫(MCL)の主な症状である
リンパ節のれと全身の症状1,2)

主な症状として、リンパ節れやしこりがあります。リンパ節は首やわきの下、太ももの付け根などにあり、これらの場所でがん化したB細胞が増殖し、腫瘤しゅりゅうをつくります。通常、痛みのない腫れやしこりですが、急に大きくなった場合は痛みを伴うことがあります。

また、リンパ節以外にも脾臓ひぞう扁桃へんとうなどのリンパ球が集まるリンパ系組織に腫れがみられることがあります。

進行すると、発熱や体重減少、大量の寝汗(盗汗とうかん)といった全身の症状があらわれます。これらはB症状と呼ばれています。

主な症状である
リンパ節の腫れ・しこり

リンパ節の腫れ・しこり

腫れ・しこりがみられる
リンパ節とリンパ系組織

扁桃、頸部リンパ節、腋窩リンパ節、脾臓、腹部リンパ節、鼠経リンパ節、膝窩リンパ節

全身にあらわれる症状
(B症状)

発熱、体重減少、大量の寝汗
MCL患者Aさん(60代女性)

医療機関を受診した経緯や症状

Aさん:
私の場合は脾臓のみが腫れて、リンパ節の腫れはありませんでした。最初はお腹周りが太ったのかな?と思っていたのですが、腫れが大きくなって痛みも伴うようになったため、医療機関を受診しました。B症状は出ませんでした。
MCL患者Bさん(70代男性)

医療機関を受診した経緯や症状

Bさん:
最初は喉の違和感に気づきました。ただ、寒くなる時期だったため、風邪かもしれないと軽く考えていました。その後、首周りのリンパ節が腫れてきて今までになかった症状だったため、不安を感じて医療機関を受診しました。

リンパ節以外の部位(節外部位せつがいぶい)にがん細胞が
増殖することがある2-4)

MCLではがん化したB細胞がリンパ管を通じて全身をめぐるため、リンパ節以外の部位でもがん細胞が増殖することがあります。これを節外病変と呼び、MCLでは骨髄や消化管、中枢神経などにも認められます。

骨髄に浸潤しんじゅん(がんが広がって増殖すること、転移)すると、血液細胞が減ることで貧血や疲労などの症状があらわれます。消化管への浸潤では吐き気や嘔吐、食欲不振、腹痛などの症状があらわれます。中枢神経への浸潤では、頭痛やめまいなどがあらわれます。

骨髄への浸潤:貧血・疲労、感染症にかかりやすい(免疫力の低下)、出血など 消化管への浸潤:吐き気、嘔吐、食欲不振、腹痛など 中枢神経への浸潤:頭痛、めまいなど
  • 国立がん研究センター:がん情報サービス MALTリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫など.
    https://ganjoho.jp/public/cancer/B_lymphoma/index.html [2025年6月30日アクセス]
  • 永井正:図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫, 法研, 2016.
  • 一般社団法人日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版).
  • 木崎昌弘ほか 編:WHO分類第5版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学, 中外医学社, 2024.