膀胱がんと生きる
患者さんが語る“治療後の生活”
※本サイトに掲載している体験談は、個々の患者さんへのインタビューの内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。また、本サイトに記載されている症状などがあっても、膀胱がんとは限りません。ご自身の症状で気になることがあれば、医療機関を受診し、医師にご相談ください。
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性別女性
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診断時の年齢30代後半
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現在の年齢50代前半
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診断筋層非浸潤性膀胱がん
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治療歴膀胱全摘除術
治療後
体調に大きな変化は感じませんでしたが、新たに尿をためておく場所となるストーマ装具(パウチ)を付けた生活は大変で、最初は気持ちが落ち込みました。
装具の交換がスムーズにできなかったことや、製品が合わなかったことが特に大変でした。例えば、装具がすぐに剥がれたり、尿が漏れてしまったり、皮膚がかぶれることもありましたが、試行錯誤を重ねるうちに、少しずつ自分に合った装具メーカーや交換方法をみつけることができ、1年後にはほとんど問題なく交換できるようになりました。
また、病院にはストーマ専門の看護師さんがいるので、ストーマの状態や皮膚のかぶれなどをチェックしてもらい、1年ほど通院して少しずつ慣れていきました。
子どもが小さい頃は、抱っこや遊んでいるときに装具が外れないように注意していました。ストーマの反対側で抱っこをしたり、遊んでいるときも装具を手で押さえたり。装具を押さえる癖は今でも残っていますね。また、子どもが急に抱きついてくることがあったのですが、ストーマの位置と子どもの頭の高さがほぼ同じだったので常に警戒していました。
プールや温泉に行くのは難しかったものの、家では普通に子どもと遊んだり、ダンスをしたりして楽しい時間を過ごせました。育児だけでなく、家事全般も特に支障なくこなせていました。
装具のにおいには気を付けています。タマネギやにんにく、香草類などの強い香りがする食べ物や、肉類などの脂っこいもの、お酒は控えて、さっぱりとした食事を選ぶように心がけています。また、装具の交換も指定された日数をきちんと守るようにしています。
これらの工夫をすることで、においを気にすることが少なくなり、ストレスも減少しました。食事の工夫や対策は重要だと感じています。
膀胱全摘除術後、最初の1年は3~6ヵ月ごとに、2年目からは6ヵ月ごとに、5年目には年1回のペースで通院し、血液検査や画像検査を受けていました。
定期検診の2~3日前から不安で眠れないことが多く、睡眠導入剤を処方してもらったこともありました。また、当日は病院の駐車場に車を停めるときから憂うつでしたが、検査後に、先生から「今回も再発はみられませんでしたよ。Bさんは膀胱を摘出したし、筋層への浸潤や他の臓器への転移もなかったのだから大丈夫ですよ!」と毎回言っていただくたびに、少しずつ安心していきました。それでも、不安と緊張の5年間は続きましたが、最終的に「問題ないですよ。定期検診は本日で終わりです」と言っていただいたときには、ホッとしました。
膀胱がんと診断された当時は育児中で仕事はしていませんでしたが、子どもが小学校に入るタイミングで、また働こうと考えていました。
仕事を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮しました。例えば、長距離の通勤は難しいため、自宅から近くてトイレに行きやすい業種を選びました。また、立ちっぱなしの仕事は体に負担がかかり、私には難しいと思ったため、選びませんでした。最終的には事務職に就き、社会に貢献できる機会を持てるようになったことに喜びを感じています。
装具メーカーから送られてくる月刊誌で講演会があることを知り、初めて参加してみました。メーカーから提供された生活に役立つ工夫や最新情報などはとても参考になり、有意義でした。次回もぜひ参加し、さらに多くの情報を得て、日々の生活に役立てていきたいと思っています。
メッセージ
まず、ストーマを造設しても普通に生活ができるということを伝えたいです。最初は外出するのが怖く、装具を付けていると気付かれたくないという気持ちもありましたが、実際には、見た目にも配慮されたアンダーウェアやスポーツウェアがあることを知り、思っていたほど制限される生活ではないのかもしれないと感じ、気持ちが楽になりました。それに、ジャケットやゆったりとした洋服を選べば、装具は意外とわからないし、消臭剤を使ったり、装具の交換をしっかり行っていればにおいの心配もありません。想像していたよりも普通に生活できるのだと実感しています。これから膀胱全摘除術を受ける方には、あまり不安に思わず、前向きな気持ちで治療に臨んでほしいと思います。