膀胱がんと生きる
患者さんが語る“治療後の生活”
※本サイトに掲載している体験談は、個々の患者さんへのインタビューの内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。また、本サイトに記載されている症状などがあっても、膀胱がんとは限りません。ご自身の症状で気になることがあれば、医療機関を受診し、医師にご相談ください。
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性別男性
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診断時の年齢40代前半
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現在の年齢60代前半
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診断筋層浸潤性膀胱がん
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治療歴膀胱全摘除術
治療後
新たに尿をためておく場所となるストーマ装具(パウチ)をお腹に付けて生活することになりました。入院中から装具の交換方法について看護師さんの指導を受け、自分で交換できるように練習しました。
看護師さんからは「自分のストーマの大きさに合わせて、装具の面板(お腹に貼る部分)をカットする作業は、慣れるまで大変かもしれません」と言われていましたが、実際にやってみると、比較的スムーズに自分のストーマのサイズに合わせて面板をカットすることができました。そのため、装具の交換について大きな苦労を感じることなく、入院中に身に付けることができたと思います。
退院後しばらくは、尿漏れのトラブルが何度かありました。突然漏れ出すこともあれば、徐々に漏れていて、気付いたときには衣服が濡れてしまっていた、ということもありました。
特に印象に残っているのは、イタリア旅行中に尿漏れが起こったことです。海外では日本のようにすぐに公衆トイレがみつかるわけではなく、対応に苦労しました。結局、宿泊していたホテルまで戻って着替えることになり、事前にトイレの場所を確認する、着替えや予備の装具セットを持ち歩くなどあらためて備えの大切さを感じた出来事でした。
いくつかのメーカーの装具を試しながら、自分の体や生活スタイルに合ったものを探しました。
私が装具選びで重視しているのは、ストーマ周囲の皮膚を守る皮膚保護剤の耐久性です。皮膚保護剤が劣化すると尿漏れにつながりやすいため、耐久性のあるものを選び、長く使いすぎないようにしています。私の場合は、1週間程度もつ装具を使用していますが、実際には3~4日で交換するようにしています。
また、外出時は装具セットを常備し、少しでも違和感があるときには早めに装具の状態を確認するようにしています。場所が国内か海外かにかかわらず、外出時は基本的に同じ準備をしています。海外など遠方へ移動する際も、飛行機ではトイレを利用できる環境があるため特に困ったことはありません。
退院してから1ヵ月後に職場復帰しました。残業は控え、無理をせず少しずつ体を慣らしていきました。復帰直後は体力が落ちている感覚があり、疲れを感じることもありましたが、入院中から体力を落とさないように病院内を歩いたり、階段を使って適度に体を動かしていたこともあり、しばらくすると慣れてきました。
疲れたときは温泉に行って、ゆっくり浸かることもあります。最初の頃はお腹に装具が付いていることで周りの目が気になっていましたが、今ではすっかり慣れて、あまり気にならなくなりました。温泉に入る前には装具を空にしておき、入浴中はタオルで装具を少し隠すくらいで、普段通り入っています。
さらに、スポーツジムに通って体を動かすことも続けています。開腹手術の影響もあり、先生から腹筋に力がかかる運動は控えるように言われていますが、それ以外の運動は無理のない範囲で行っています。
退院後の5年間は、定期的に通院し、CT検査や血液検査を受けていました。最初の頃は1ヵ月ごとでしたが、少しずつ間隔が延び、最終的には6ヵ月ごとの通院になりました。
5年が経過したタイミングで、先生から「転移もみられないので、定期検診はいったんここで終わりにしましょう」と言われたときは、ほっとした気持ちになったことを覚えています。
手術から約20年が経ちますが、現在も転移はなく、元気に日常生活を送ることができています。
現在は2ヵ月に1回のペースで、ストーマ外来を受診しています。受診するようになったきっかけは、2年ほど前に皮膚保護剤を貼っている部分のかゆみが気になるようになったことでした。
診察でストーマの周りをみてもらったところ、「皮膚が白っぽくふやけていて、皮膚保護剤が崩れ、尿が皮膚に当たり続けている状態ですね。このまま放っておくと、ただれにつながる可能性があります」と説明を受け、セルフケアの方法を教えてもらいました。その後も定期的にストーマの状態を確認してもらっています。
また、ストーマ外来では、私と同じように装具を付けている方々の工夫や経験についても教えてもらっています。例えば、開腹手術の影響でストーマの周囲がふくらんでいることを相談した際には、「ふくらみを抑えるベルトがありますよ」と紹介されました。その際、「ベルトを使うとかゆみが出ることもあるので、ベルトの下に肌着を挟んで使用している方もいます」といった注意点まで教えてもらえたのが印象的でした。
もともと、患者さん同士の情報交換の場として患者会への参加も考えていましたが、私の住んでいる地域では平日の開催が多く、仕事の関係であまり参加できずにいました。その点、ストーマ外来では、看護師さんを通して他の患者さんの実例や工夫を間接的に知ることができ助かっています。
実感としては、ストーマ外来を受診するようになってからこの2年間で得た情報は、それまで10年以上、自分なりに調べてきた情報以上に多く、実践的なものだと感じています。今後も定期的に受診を続けていくつもりです。
メッセージ
ストーマ造設後の生活では、戸惑ったり悩んだりすることもあると思います。そのため、特に最初のうちは他の患者さんとの交流や、ストーマ外来を通じて専門家の話を聞くことが心強い助けになると思います。
実際、私が一度患者会に参加した際に、障害年金などの福祉制度について教えてもらいました。もしあのとき話を聞いていなければ、そうした制度の存在をずっと知らずにいたかもしれません。
その後は患者会に参加できずにいましたが、現在はストーマ外来で看護師さんに相談したり、必要な情報を得たりして特に困ることなく過ごせています。
これから膀胱全摘除術やストーマ造設を受ける方にも、ぜひ身近に悩みや情報を共有できる相談相手をみつけてほしいと思います。そうしたつながりが前向きな日々を送るための大きな支えになるはずです。