納得して治療を
受けるために
患者さんが語る“治療決定までの経緯と治療の実際”
※本サイトに掲載している体験談は、個々の患者さんへのインタビューの内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。また、本サイトに記載されている症状などがあっても、膀胱がんとは限りません。ご自身の症状で気になることがあれば、医療機関を受診し、医師にご相談ください。
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性別男性
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診断時の年齢70代前半
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現在の年齢70代後半
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診断筋層非浸潤性膀胱がん
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治療歴経尿道的膀胱腫瘍
切除術
(TURBT)、
膀胱内注入療法
症状発現~診断
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受診する3~4年ほど前から、尿にうっすらと血が混じることがたまにありましたが、それ以外に体調の変化は感じられず、当時はあまり気にしていませんでした。ところがある日、薄い血尿だけでなく、大きな血のかたまりが一緒に出てきました。痛みはありませんでしたが、明らかに様子が違い、不安になってすぐに近所の泌尿器科を受診しました。診察では、まずエコー検査と膀胱鏡検査を受けました。モニターに映し出された膀胱内の画像には、海藻のようなひらひらとしたものが映っており、がんの可能性が高いと説明を受けました。さらに詳しく調べるためMRI検査を行った結果、膀胱がんと診断され、別の病院で手術を受ける必要があると言われました。
診察では、まずエコー検査と膀胱鏡検査を受けました。モニターに映し出された膀胱内の画像には、海藻のようなひらひらとしたものが映っており、がんの可能性が高いと説明を受けました。さらに詳しく調べるためMRI検査を行った結果、膀胱がんと診断され、別の病院で手術を受ける必要があると言われました。
これまでに他の疾患で入院や手術を受けたことはありましたが、がんと診断された瞬間は、やはりショックでした。ですが、先生から「がんは表面にとどまっていて、筋層には達していません」と説明があり、「治療後も再発の可能性はあるものの、定期検診をきちんと受けて、早期発見・早期治療ができれば問題ないですよ」と言われたことで、少し安心することができました。
自宅に戻って妻に伝えたところ、「がん」と聞いて驚いていましたが、早い段階でみつかってよかったと、ほっとしている様子でした。その表情をみて、私自身も少し気持ちが落ち着きました。
治療法の提案~決定
MRI検査を受ける際に、先生から「検査の結果、手術が必要となった場合には提携病院を紹介します」と言われましたが、命に関わることなので、自分が納得して手術を受けられる病院を選びたいと思いました。そこで、紹介先の病院について希望を伝えてもよいか先生に相談したところ、「もちろん、希望があれば対応しますよ」と快く承諾してくださいました。
その後、検査結果が出るまでの期間を利用して、自分に合った病院を探そうと、インターネットで情報を集めました。膀胱がんの手術実績を中心に複数の病院のホームページをみて検討したところ、ここなら信頼できそうだと思える病院がみつかりました。
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経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)という内視鏡手術でがんを切除し、その後再発を予防するために膀胱内注入療法を行うと説明がありました。使用する薬剤には抗がん剤とBCG(カルメット・ゲラン桿菌)の2種類があり、私の場合はBCGを使った治療法を提案されました。
TURBTを実施する際には麻酔が必要となりますが、全身麻酔と下半身麻酔のどちらかを選択できるとのことで、それぞれのリスクやベネフィットについて説明を受けました。通常は下半身麻酔を行うということでしたが、脊髄に針を刺すことに少し抵抗があると伝えたところ、私の意見を尊重していただき、全身麻酔で進めることになりました。
また、先生から「TURBTは、海藻のようにひらひらしているがんを取る簡単な手術なので大丈夫ですよ」と言われて、気持ちが少し楽になりました。
膀胱内注入療法についても事前にインターネットで調べていたので、薬剤は抗がん剤とBCGのどちらかを使用することは知っていました。ですが、なぜBCGを勧めるのか理由が気になって質問したところ、先生から提案されたBCGによる膀胱内注入療法を受けた場合に期待される効果や起こりうる副作用などについて、わかりやすく丁寧に説明してくださいました。自分で調べていた情報よりも詳しく納得のいく内容だったので、先生の話を聞いて安心し、治療に対してさらに前向きになれました。
治療法の説明の際に、先生には「何か質問はありますか?」と声をかけながら説明していただいたので、安心して話を聞くことができ、十分に理解することもできました。
治療実施
全身麻酔で行われたため、手術そのものに対する不安はありませんでしたが、全身麻酔から目が覚めなかったらどうしようという心配がありました。また、術後に尿道カテーテルを抜く際、痛みが出ないか少し気になりましたが、声をかけながら上手に抜いてくださったので、問題ありませんでした。
TURBT後に毎週1回、合計4回の治療を受けました。BCGを注入した後は2時間ほど薬剤を膀胱内にためておく必要があり、その間トイレには行けませんが、尿意が我慢できず辛いと感じることもなく、病院の会計を終えて家に帰る頃には、ちょうど2時間経っていました。治療中も特に気になることはなく、いつも通りに過ごすことができました。
膀胱内注入療法の終了後に受けた1回目の膀胱鏡検査です。その場で組織を採取して検査を行った結果、再発していることがわかりました。その数ヵ月後に2回目のTURBTを受けて、がんを切除してもらいました。
膀胱内注入療法を終えたばかりだったので、再発したことはショックでしたが、膀胱がんは再発が多いということを事前に自分で調べており、先生からもそのことを説明されていたので、再発についてはある程度覚悟していました。
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自分で選んだ信頼できる病院で治療を受けることができて、よかったと思っています。疑問や自分の希望を先生にしっかり伝えることができ、納得して治療に臨むことができました。再発はありましたが、事前に心の準備ができていたので、スムーズに受け入れることができました。先生がおっしゃっていた通り、早期発見・早期治療の重要性を実感しました。