※本サイトに掲載している体験談は個々の患者さんのご経験をインタビューした
内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。
内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。
KF様の体験談
発症 / 診断
自宅での昏倒から救急搬送され肝細胞がんステージⅢと診断
自宅で昏倒し、救急車で搬送されたことを機に肝細胞がんがわかりました。それまでは肝炎の既往はありませんでしたが、かかりつけ医で定期的にしていた血液検査から、肝臓の数値が思わしくないことはわかっており、薬剤を処方してもらっていました。大事に至る状態ではなかったこともあり、ずっと経過観察をしていたのですが、前年の暮れから息子夫婦が一時的に同居したこと等で、多少ストレスが溜まっていたかもしれません。
搬送中は意識を失っており、搬送された救急病院では手に負えないとのことで、近くの大学病院に移送されました。目が覚めると病床に家族が駆けつけてきていました。とりあえず応急処置をしていただき、そのまま入院して詳細に検査をしたところ、肝細胞がんステージⅢであることがわかりました。身近にがん患者がいなかったこともあり、初めはピンときませんでした。がんは不治の病とのイメージだったので、先生に余命を尋ねたのですが、具体的な数値をきいて、ショックを受けました。
搬送中は意識を失っており、搬送された救急病院では手に負えないとのことで、近くの大学病院に移送されました。目が覚めると病床に家族が駆けつけてきていました。とりあえず応急処置をしていただき、そのまま入院して詳細に検査をしたところ、肝細胞がんステージⅢであることがわかりました。身近にがん患者がいなかったこともあり、初めはピンときませんでした。がんは不治の病とのイメージだったので、先生に余命を尋ねたのですが、具体的な数値をきいて、ショックを受けました。
肝切除 / 焼灼
手術でがんを切除できたので気持ちはスッキリした
診断はショックでしたが、本やインターネットでも調べ、また医師からも手術が最適だとのことだったので、なんとか根治したいとの気持ちで診断から3ヶ月後に3週間入院して開腹手術をしました。手術に対しては怖いという気持ちはなく、切除して治すことができる、という喜びすらありました。ただ、3週間の入院で筋力が低下してしまい、退院後は出歩くことも減ってしまいました。
手術後、とりあえずがんを切除できたので気持ちはスッキリしましたが、医師から再発の可能性は高く、再発した場合はその都度局所治療を行うと聞き、不安も残りました。手術後は1ヶ月に1度通院しながら、CT、MRI、エコーやPET等で、経過観察を続けました。
手術後、とりあえずがんを切除できたので気持ちはスッキリしましたが、医師から再発の可能性は高く、再発した場合はその都度局所治療を行うと聞き、不安も残りました。手術後は1ヶ月に1度通院しながら、CT、MRI、エコーやPET等で、経過観察を続けました。
妻の普段の接し方や心配してくれる心が何より有り難い
がんの診断を受けたとき、妻は不安を感じていたと思いますが顔や言葉には出しませんでした。がんとわかると、いろいろと本を用意してくれました。食事についても勉強して工夫してくれていますが、私の好みと合わないこともあります(笑)。普段と変わらず接してくれていますが、いつも気にかけてくれて、心配してくれていることは伝わってきて、それが何より有り難いです。
仕事仲間に病気のことを伝えて、引退できる環境を整えた
診断当時、フルタイムではありませんでしたが、造園の仕事をしていました。自分の顧客に迷惑をかけてはいけないと、仕事仲間に病気のことを伝えて引き継いでもらい、引退できる環境を整えました。がんの話をすると離れていく人もおり、複雑な気持ちになりましたが、「できるだけのことをするから心配せずに治療に専念して」、「任せろ」と言ってくれる人もいて、気持ちが楽になりました。とても嬉しかったです。今から思うと、仕事は完全に辞めずにできる範囲で続けておいても良かったかと思います。仕事がなくなると寂しいですからね。
肝切除 / 焼灼
TACE
繰り返して受けたTACEやRFAがいつまで続くのか不安に
手術から3年間は再発なく、治ったという気持ちで楽しく過ごすことができましたが、残念ながらちょうど3年後に再発が見つかり、最初の肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行いました。TACE自体はそれほど苦になりませんでしたが、術後の数時間の安静は辛かったですね。同年12月にまた再発がわかりました。肝細胞がんは再発を繰り返すと聞いてはいましたが、こんなに短期間で再発するのか、と正直落胆しました。長く付き合っていかないといけない病気なのだ、と気持ちが切り替わったのはこの頃だったと思います。このときはラジオ波焼灼療法(RFA)で治療しました。
翌年5月に3回目の再発で再度TACEを行いました。ほどなくして2ヶ月後、7月にも再発で再度RFAを実施、このようなことがいつまで続くのだろうと漠然とした不安がありました。
翌年5月に3回目の再発で再度TACEを行いました。ほどなくして2ヶ月後、7月にも再発で再度RFAを実施、このようなことがいつまで続くのだろうと漠然とした不安がありました。
副作用への対処については、ご自身で判断せず、必ず医師や薬剤師・看護師等にご相談ください。
薬物療法
抗がん剤に対する不安を解消するために主治医に詳細を確認
再発を繰り返す中で、主治医から抗がん剤治療をする時期がいずれ訪れることは聞いていました。4回目の再発でRFAを行った2ヶ月後に抗がん剤治療を開始することになり、抗がん剤に対する不安を解消するために、主治医からこの薬でどのような副作用が起こるのか、経験されている症例について教えてもらいました。治療が始まってみると、私の場合は想像していたほどの副作用はなく、主治医から聞いていた範囲内で、日常生活への支障はありませんでした。
抗がん剤治療を半年ほど続けた頃、リンパ節転移がわかったため、少しの間休薬して別の病院にマイクロ波凝固壊死療法(MCN)を受けに行き、元の病院に戻り抗がん剤治療を再開しましたが、その後も腹膜播種、再度のリンパ節転移などがあり、かなり落ち込みました。ときどき休薬などしながら抗がん剤治療を続けました。
その後、別の抗がん剤による治療が始まりました。がんも縮小し、腹膜播種も見えなくなり、とても嬉しく思います。治療を始めて1年半ほどになりますが、順調に体調を保てています。
抗がん剤治療を半年ほど続けた頃、リンパ節転移がわかったため、少しの間休薬して別の病院にマイクロ波凝固壊死療法(MCN)を受けに行き、元の病院に戻り抗がん剤治療を再開しましたが、その後も腹膜播種、再度のリンパ節転移などがあり、かなり落ち込みました。ときどき休薬などしながら抗がん剤治療を続けました。
その後、別の抗がん剤による治療が始まりました。がんも縮小し、腹膜播種も見えなくなり、とても嬉しく思います。治療を始めて1年半ほどになりますが、順調に体調を保てています。
本やインターネットで肝細胞がんの情報を収集
入院中に妻が用意してくれたいろいろな本を見て、どの先生が良いのかなど参考にしました。救急搬送後に移送された大学病院には肝臓がんの専門の先生がいらっしゃったので、「ここなら大丈夫」と思いそのまま治療をお任せしました。また、インターネットでも肝細胞がんのことやステージごとの治療法について調べました。インターネット上にはさまざまな情報があり、気持ちが揺れることもありました。その情報が良いものなのか、悪いものなのか判断しかね難しいと感じましたが、複数の医師のいろいろな見解が記載されているサイトを参考にするようにしていました。
主治医には細かいことも一生懸命に伝える
診察時には必ず聞くことを準備して臨んでいます。抗がん剤に関する不安も先生に相談し納得してから治療を開始しました。日頃の健康状態や血圧、体温、食事なども自分で記録しておいて、時々先生に「こういうことをしています」、「こういうものを食べました」など話すこともあります。そうした細かいことも主治医は親身になって聞いてくれるので、こちらも一生懸命伝えるようにしています。また、「近々新しい治療法等の検討をしましょう」など、最新の知識も与えてくれます。自分で調べてかかっていた大学病院ではできない治療を受けたいと申し出たときも、快く送り出してくれました。
現在の抗がん剤治療は、外来治療センターで行っていますが、看護師さんに話を聞いてもらうこともよくありますし、食欲が低下してしまったときは栄養士さんから指導を受けたり、薬剤師さんにはがん以外で処方されている薬について相談することもあります。いろいろな専門家に支えていただいていることに感謝しています。
現在の抗がん剤治療は、外来治療センターで行っていますが、看護師さんに話を聞いてもらうこともよくありますし、食欲が低下してしまったときは栄養士さんから指導を受けたり、薬剤師さんにはがん以外で処方されている薬について相談することもあります。いろいろな専門家に支えていただいていることに感謝しています。
がんとの向き合い
「がんと友達」のような感覚で、長く付き合っていく覚悟
TACEやRFAで度々入院した際に同室だった患者さんたちも、自分と同じような経過で治療をされている方々でした。長く肝細胞がんと向き合って何度も治療を経てこられているにもかかわらず、皆さん悲観的ではなかったことは、とても励みになりました。肝細胞がんになって、最初は驚き、次に希望、そして再発で落胆の繰り返しで、心が折れそうになることもありましたが、今はもう「がんと友達」のような感覚で、長く付き合っていく覚悟でいます。治療薬の開発は日進月歩ですから、治療ができる状況を保てれば、「必ずまた新しい治療法が出てくるだろう」との希望を持って日々を過ごしています。
読者へのメッセージ
人生、がん治療だけではありません。再発が度重なっていた時に一番上の孫が小学校に入学しました。子どもはいいですね。成長を見ると明るい気持ちになります。また、「自分のやりたいことをやっていこう」と、同じ頃に趣味の絵画も習い始めました。
これからも一人で悩まず先生を頼りに、自分の知識を増やしながら、怖がらずにまっすぐ向かっていきたいと思います。
これからも一人で悩まず先生を頼りに、自分の知識を増やしながら、怖がらずにまっすぐ向かっていきたいと思います。
看護師からの一言
看護師 橋本様
治療も大事ですが、がんや治療は人生のごく一部にすぎません。普通に笑ったり、泣いたり、怒ったり、ご自分らしく生活を楽しんでいただけたらと思います。生活のなかで何か小さな目標を持たれたりすると、より充実した時間を過ごせるかもしれません。がんと治療をうまく日常生活の中に取り込んで、治療や副作用のパターンに合わせて予定や生活リズムを調整したり、がんを特別なものとして扱わず、普段の生活のなかで家族と話題にしたりできるようになると良いですね。ご自分らしさや日常生活をぜひ、大切にしてください。そのために私たちがお役に立てることがあれば、なんでもご相談ください。
また、肝臓がんは再発することが多い一方で、いくつもの治療法があり、その都度対応していくことができる病気です。治療ができるということを前向きに捉えておられる方もいらっしゃいますので、そのような考え方もあることをお伝えしたいと思います。