コミュニケーション
2. 家族や職場の方との
コミュニケーション
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胆道がんについて、私自身も十分には理解していません。家族や周囲の人にどのようなタイミングでどのように伝えるべきですか?
各家庭にさまざまな事情があるかと思いますが、基本的にはがんと診断されて治療に入る前にご家族や周囲の人にご自身の病気のことを伝えたほうがよいことが多いようです。伝えることで、ご自身の急な体調の変化なども無理につくろう必要がなくなりますし、周囲の人も対処することが可能になります。後になって知られたときに「なぜもっと早く言ってくれなかったのか」と信頼関係に溝ができてしまうこともありますので、確定診断を受けた際はご家族など親密な人ほど早めに、ご自身がお話しできる心持ちのタイミングで伝えてみてはいかがでしょうか。
また、お子さんがいる場合、子どもは親と過ごす時間が減ることや、親の体調の変化などを敏感に感じ取り不安を抱くことがあります。よって、気持ちが離れないように子どもとのコミュニケーションの時間を意図的に持ちながら、家族内の意見も共有し、子どもにいつどこまで話をするのか考えておくとよいでしょう。
日本人において胆道がんは珍しいがんではありませんが、乳がんや肺がんと比べると世間一般にはあまりよく知られていません。ご家族や周囲の人に胆道がんの症状や治療法について説明する際は、ぜひ本サイトをご活用いただければと思います。
ご家族や周囲の人にお話されるときには、医師が診断内容について説明した際に使用した説明文書や患者さん向けのパンフレットを用いて説明しましょう。また、今までの生活への影響や今後の見通しも併せて伝えることも大切であり、お互いのこれからの過ごし方のイメージができるようになります。 -
胆道がんになったのは私なのに、家族が治療方針を勝手に決めてしまいそうです。どうしたらよいですか?
ご家族が患者さんの病気や治療について関心を持ち、積極的に関わろうとしてくれることはとても大切なことです。ただし、患者さんの心の中に、「自分のことは自分自身で決めたい」という大切な想いがあるのでしたら、ご自身の希望を主治医に直接伝えると同時に、その大切な気持ちをご家族にも伝え、十分な話し合いをしましょう。
がんの治療を受けられるのは患者さんご自身ですが、ご家族にとっても心構えやサポート体制を整えることが必要です。ご自身の意向とご家族の意向とが、ぴったりと合わないことのほうが多いかもしれません。それでも、お互いに話せることから少しずつ話していく時間をつくってみましょう。そうすることで、ご自身とご家族の「お互いに大切にしたいこと」がイメージできるようになるはずです。
病気のことや治療のことをご自身でうまく説明ができない場合には、診察時にご家族も同席してもらい、医師や看護師と一緒に相談の機会を設けてみてください。がん相談支援センター(下記のリンク参照)に相談することも可能です。
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親戚の人に胆道がんであることを伝えてから、「がんに効くサプリメント」と謳った商品や、ネットで見つけた自由診療の高額な治療法を勧めてきたりして困っています。どうしたらよいでしょうか?
胆道がんの標準治療は、手術、薬物療法(化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬)、放射線治療です。「標準治療」とは、たくさんの症例で検討された試験(臨床試験)を経て、有効性と安全性が科学的に確立している治療法のことで、日本では保険診療で治療を受けることができます。
この標準治療とは別に、サプリメントや健康食品などによる民間療法(代替療法)、保険が適用されない免疫療法※など高額な自由診療の医療機関での治療があります。「少しでも可能性のあるものであればできることはすべてやりたい」と思うことは自然なことですし、周囲の方々も善意で勧めておられることでしょう。ここで理解しておいていただきたいことは、「がんに効くサプリメント」に本当に効果があるのでしたら、それが標準治療になっている、ということです。残念ですが現在のところ、こうした民間療法について、がんの治療効果(がんの進行抑制や生存率の向上)が科学的に証明されたものはありません。
サプリメントにも副作用があるもの(薬物療法を止めなければならない場合もあります)や薬物療法と併用しない方がよいものもあります。一方、通常のビタミン剤のような問題のないものもあります。
ご自身の気が進まないときや、よく分からないときははっきりと断りましょう。興味がある場合には、購入前・使用する前に主治医に必ず相談してください。
※保険適用されない自由診療の「免疫療法」と呼ばれる治療法は、保険適用される免疫チェックポイント阻害薬による免疫療法とは異なるものであり、注意が必要です。
「がんの治療に関する情報」の信頼性を
確認するポイント- その治療は、保険診療で受けられるか
- 治療のメリットだけではなく、デメリットにも言及されているか
- 「すべてのがんに効く」「がんが消える」などの耳にやさしい言葉が多く並んでいないか
- 金額は妥当か
- 個人の体験やその道の「権威」と呼ばれる人の顔写真などが掲載されていないか
- 診察の途中で体調が悪化した時のフォロー体制は万全か(最後まで責任をもって診療してくれる医療機関かどうか)
渡邊 清高 監. がんになったらすべき対策大全 2021年最新版.扶桑社. 2021年. P125を改変
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職場に胆道がんの治療を受ける予定であることを伝えると、仕事を変更されたり、自分への態度が変わりそうで言いづらいです。どのように伝えたらよいですか?
がんの治療は日々進歩しており生存率が上がっていることから、「長く付き合う病気」に変化しつつあります。労働者ががんになったからといって、すぐに離職する状況は少なくなってきました。仕事を持ちながらがんで通院している人は増加傾向にあります。
患者さんの中には職場に伝えずに済ませたいと考える方もいらっしゃると思いますが、全く仕事に影響を与えずにがんの治療を続けることは、現実的には難しいことです。胆道がんの手術では約1ヵ月間の入院が必要です。1~3ヵ月程度で復職される方が多いものの、手術後3ヵ月間程度はリハビリ期間として過度な疲労を避けることが大切です。手術をせずとも、胆道ドレナージ、ステント留置に入院が必要になったりします。
上司や人事担当者に病状や今後の見通しを伝え、理解と協力を得ておくことが、結果的には仕事への影響を小さくし、スムーズな復帰につながりやすいといえます。職場側としても、症状や治療の状況(治療スケジュールなど)、退院後または通院治療中の就業継続の可否、望ましい就業上の措置(避けるべき作業や出張の可否など)、通院時間や休憩場所の確保の要否等の情報を得ることで、治療と仕事の両立支援を検討することができます。
職場への伝え方に悩む際には、「がん相談支援センター(下記のリンク参照)」に相談してみてください。「がん相談支援センター」では、「職場にどのように伝えたらよいのか」、「職場に伝えるにあたり、どのような準備や確認が必要か」なども含め、就労支援に関する相談内容にも応じられる専門家が在籍しています。
また、厚生労働省による「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」では、治療の状況や就業継続・職場復帰の可否などについて主治医に意見を求める際の様式例、治療と仕事の両立に関する支援制度・機関について詳しくまとめられています。
また、職場への説明に本サイトの解説もぜひご活用ください。<参考文献>
厚生労働省. 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン. 令和5年3月版.
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001088186.pdf
(2023年9月13日閲覧) -
治療のために入院したり、お薬の点滴に時間がかかったりして、家の用事に支障が出ることがあります。息子夫婦の助けも得にくいので困っています。どうしたらよいでしょうか?
65歳以上の方は介護保険「要介護(要支援)認定」を申請したうえで在宅ケアを受けることができます。介護が必要な状態であることが認定されれば、寝たきりでなくても訪問介護などの介護保険サービスを利用することができます。
また、一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯に食事を届けてくれる高齢者向けの配食サービスがあります。配食サービスは介護保険の適用外ではありますが、一定の要件を満たしている場合に市区町村が一部費用を負担してくれる行政サービス(「食の自立支援事業」)を実施している地域もあります。地域によって利用条件やサービスの内容が異なるので、「がん相談支援センター(下記のリンク参照)」や「地域包括支援センター」、ケアマネジャーにご相談ください。
在宅ケア:住み慣れた自宅や自宅ではないけれど家に近い住まい(ケアハウスなどの居宅)に身を置きながら療養するのを支えるケアのこと。いつもの生活を、支えられながら自分でできることをやりつつ、必要な医療を外からのサービスで賄うという仕組みです。
訪問看護:看護師が自宅訪問し、患者さんの看護ケアや健康管理などを行うこと。訪問看護を提供する施設を訪問看護ステーションと呼びます。
地域包括支援センター:介護予防を含めて、在宅療養などに関するさまざまな制度の利用や福祉の相談・支援を行っており、各市区町村に設置されています。
ケアマネジャー(介護支援専門員):介護保険にて要介護認定を受けた人やそのご家族からの相談に基づき、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、計画実施に関する連絡・調整などを行います。
高齢者食事サービス:各市区町村で行われている高齢者食事サービスがあります。地域によってサービス内容や条件は異なります。
「食の自立支援事業」の検索方法
インターネットの検索エンジンで、「食の自立支援事業 ○○市(区町村)」と検索すると、ご自身が居住する市区町村の事業内容が確認できます。
《東京都江東区の例》
事業内容:身体的機能の低下等により調理や買物が困難な65歳以上の高齢者の方に、昼食又は夕食を配達することで、食生活の向上を図るとともに、安否確認を行います。食数は週7食(1日1食)を上限とします。対象となる方:
次のすべてに該当する方
- 区内在住の65歳以上である
- 疾病等により調理や買物が困難である
- (同居者がいる場合)同居者が疾病又は就労により調理や買物が困難である
費用負担:各業者が定める額、常温普通食が1食につき200~460円。特別食は1食につき300~500円。
<参考文献>
がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P139-140.
監 修
神奈川県立がんセンター
総長 古瀬 純司、がん相談支援センター 得 みさえ