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前立腺がんへのよくある質問

監修:
群馬大学名誉教授 黒沢病院予防医学研究所所長 山中 英壽 先生
協力:
黒沢病院予防医学研究所 熊坂 文成 先生/加瀬 嘉明 先生

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分からないこと、不安に思うことなど、よくある質問に専門医がお答えしています。

手術

早期前立腺がんと診断され、手術を受けました。手術後の再発率はどのくらいですか?

根治を目的にして前立腺を摘出しても、術後5年以内に25~35%が再発してしまいます。しかし、この再発とは、術後低下したPSA値(0.1ng/mL未満)が再上昇を始めた(0.2ng/mL以上)というもので、画像診断では再発の場所が特定されない「PSA再発」です。これが進行すると、がん病巣がCT検査や骨シンチグラフィーなどで明らかに見えるようになり、「臨床的再発」となりますが、それでもすぐには症状としては現れないことがあります。

手術はできないと言われました。一体何からはじめればよいのでしょう?

もし、手術ができない理由がよく分からない場合は、勇気を出して、もう1度、医師に説明を求めてください。悲観的になる必要はないかもしれません。ごく初期の場合やPSAが10ng/mL以下で直腸内触診や超音波(エコー)検査、前立腺MRI検査では確認できないような小さながんの場合、経過を観察することがあります。こういう場合も手術はできないと言われるでしょう。ただ、約15%の人には早く進行するがんがみられるので、必ず医師の指示通り、定期検査を受けてください。

手術以外の積極的な治療法としては、主にホルモン療法と放射線療法があります。手術はできなくても、どの治療法がよいかは、がんの病期や年齢、全身状態、副作用などを考慮して選択されます。そのためにも、納得できるまで主治医と相談し、必要なら他の専門家にセカンドオピニオンを求めてみるのもよいのではないでしょうか。

手術はできないと言われました。もう、治らないのでしょうか?

がん治療の基本は、一般的には、可能なら手術でがん病巣をとり除き治すことです。前立腺がんでもその通りですが、進行の遅いおとなしいがんである場合も多く、平均の発症年齢が高いことから、必ずしも根治という意味で「治す」必要がない場合もあります。肥大症の治療などで偶然、がんが見つかったものの、がんが進行・悪化するまでには何年もかかるため、がんとは関係なく亡くなる場合もあるからです。

ほかに手術ができないのは、がんが進行して前立腺外に転移している場合や、高齢のため、あるいはほかに持病があって全身状態がよくない場合です。全摘除術を行っても再発する可能性がある一方、手術せずに放射線療法やホルモン療法でコントロールしていける可能性もあります。また、最近は、進行がんに対してホルモン療法を行い、がんを小さくしてから放射線療法を行うケースも増えてきています。

前立腺がんの手術後、尿漏れが起こるというのは本当ですか?

手術を受けた患者さんの5~10%程度が、手術後に尿漏れを訴えます。しかし、尿漏れは「骨盤底筋体操」を行うことである程度の改善が期待できます。これは骨盤底筋を鍛えながら、尿道括約筋の機能回復をはかる体操です。毎日続けることで、尿道や肛門が引き締まり、しだいに尿漏れの頻度は少なくなると考えられます。

手術をしたのですが、尿漏れが治りません。尿漏れを改善する方法というのはありますか?

前立腺がんの治療後の尿漏れ改善に有効なのが、骨盤底筋群を強化する「骨盤底筋体操」です。骨盤底筋群は、恥骨と尾骨との間にハンモックのように張っている筋肉で、膀胱や腸を支えています。ここを強化することによって、尿道の締りがよくなり、尿漏れが改善されます。毎日続けることで、尿道や肛門が引き締まり、しだいに尿漏れの頻度は少なくなっていくと考えられます。

前立腺がんの手術により勃起障害になるのですか?

手術時に勃起機能に関係する神経に傷がついてしまったり、やむを得ず神経を取り除くことになった場合に、勃起障害が起こることがあります。しかし、勃起不全治療剤などで治療することができます。勃起障害が起こる可能性、また、勃起障害の治療については、手術を行う前に主治医に聞いてみてください。

前立腺をとってしまったら、何か障害が起こりませんか?

前立腺には、前立腺液を分泌する働きがあります。前立腺液は、精液の一部となり、主な働きは「精子を保護する」、「精子に栄養を与える」、「精子の運動機能を助ける」になります。手術により取り除いた後は、これらの働きがなくなります。また、手術後の合併症として尿漏れや勃起障害などがあります。尿漏れについては「骨盤底筋体操」である程度の改善が期待でき、また、勃起障害については勃起不全治療剤で改善することがあります。手術の前に先生とよくご相談ください。

前立腺がんになると必ず手術をしなければならないのでしょうか?

前立腺がんを治療するために、必ず手術を行うわけではありません。前立腺がんの治療法には、監視療法、フォーカルテラピー、手術療法、放射線療法、薬物療法などがあります。がんの進行の程度や悪性度、全身状態、他の重篤な疾患の有無、年齢などを考慮し、患者さんやご家族と相談しながら最適な治療法を決定します。手術療法は、がんを前立腺ごと切除するもので、完治が期待できるのは、がんが前立腺にとどまる限局がんの場合です。がんが前立腺を包む被膜を越えて広がっていたり、他の臓器に転移している場合は、手術よりも放射線療法や薬物療法の方が適しています。また、前立腺がんの手術には、3~4時間かかるため、手術を受けるには体力を要します。患者さんの全身状態が悪かったり、年齢が70歳を超えている場合は、限局がんでも、他の治療法を検討することがあります。

前立腺をとってしまうと女性のようになるのでしょうか?

前立腺は男性ホルモンの支配を受けていますが、男性ホルモンを作る働きはないため、前立腺をとってしまっても女性のようになることはありません。男性ホルモンは主に精巣(睾丸)から産生されます。

前立腺がんが治る可能性はあるのですか?

前立腺がんの進行の程度、悪性度によって異なります。がんの性質がおとなしく、PSA値が10ng/mL以下、グリーソンスコア6以下で前立腺内にとどまっている限局がんであれば、がんを前立腺ごと摘除する前立腺全摘除術や放射線療法によって、完治が期待できます。一方、がんの性質がおとなしくなかったり、PSA値が高かったり、がんが前立腺を包んでいる被膜を越えて広がっていたり、他の臓器に転移している場合は、根治の可能性は低くなりますが、ホルモン療法や放射線療法により、がんと共存して生命を全うすることも期待できます。前立腺がんは早期発見が大切です。50歳になったら定期的にPSA検査を受けましょう。

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