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分からないこと、不安に思うことなど、よくある質問に専門医がお答えしています。
ホルモン療法
もし、手術ができない理由がよく分からない場合は、勇気を出して、もう1度、医師に説明を求めてください。悲観的になる必要はないかもしれません。ごく初期の場合やPSAが10ng/mL以下で直腸内触診や超音波(エコー)検査、前立腺MRI検査では確認できないような小さながんの場合、経過を観察することがあります。こういう場合も手術はできないと言われるでしょう。ただ、約15%の人には早く進行するがんがみられるので、必ず医師の指示通り、定期検査を受けてください。
手術以外の積極的な治療法としては、主にホルモン療法と放射線療法があります。手術はできなくても、どの治療法がよいかは、がんの病期や年齢、全身状態、副作用などを考慮して選択されます。そのためにも、納得できるまで主治医と相談し、必要なら他の専門家にセカンドオピニオンを求めてみるのもよいのではないでしょうか。
がん治療の基本は、一般的には、可能なら手術でがん病巣をとり除き治すことです。前立腺がんでもその通りですが、進行の遅いおとなしいがんである場合も多く、平均の発症年齢が高いことから、必ずしも根治という意味で「治す」必要がない場合もあります。肥大症の治療などで偶然、がんが見つかったものの、がんが進行・悪化するまでには何年もかかるため、がんとは関係なく亡くなる場合もあるからです。
ほかに手術ができないのは、がんが進行して前立腺外に転移している場合や、高齢のため、あるいはほかに持病があって全身状態がよくない場合です。全摘除術を行っても再発する可能性がある一方、手術せずに放射線療法やホルモン療法でコントロールしていける可能性もあります。また、最近は、進行がんに対してホルモン療法を行い、がんを小さくしてから放射線療法を行うケースも増えてきています。
ホルモン療法では、男性ホルモンの分泌量が著しく低下したり、作用が抑えられてしまうため、多くの患者さんに勃起障害が起こります。そのほか、ほてりなどがみられる場合もあります。薬の種類により副作用も異なりますので、どの薬を使用するのかは主治医とよくご相談ください。
LH-RH(GnRH)アゴニストは持続型の注射剤で、効果が4週間持続するタイプ、3ヵ月間持続するタイプ、6ヵ月間持続するタイプの3種類あります。効果が4週間持続するタイプを用いる場合は4週間おきに、3ヵ月間持続するタイプを使用する場合は12~13週間おきに、6ヵ月持続するタイプは24週間おきに受診して皮下注射を行います。どちらのタイプも長期にわたって効果が持続するので、頻繁に通院せずにすみます。LH-RH(GnRH)アンタゴニストは4週間おきに受診して皮下注射します。抗男性ホルモン剤は服用する薬剤によって異なりますが、1日1~3回内服します。抗男性ホルモン剤は、単独で用いられる場合と、LH-RHアゴニスト、LH-RHアンタゴニストや精巣摘除術と併用する場合があります。
放射線療法とは、前立腺に放射線をあててがん細胞を死滅させる方法です。体の外から放射線を照射する「外照射療法」と前立腺内に入れた密封小線源放射線源から放射線を照射する「組織内照射療法」があります。限局している前立腺がんが放射線療法の対象となります。
ホルモン療法は、男性ホルモンの分泌や働きを抑えて、前立腺がんを縮小させる治療法です。ホルモン療法には、男性ホルモンを分泌する精巣を摘除する精巣摘除術(去勢術)と薬物療法があります。
ホルモン療法は、主にがんが前立腺を包む被膜をこえて広がっている局所浸潤がん、前立腺周囲の臓器に転移している周囲臓器浸潤がん、遠くの臓器に転移している転移がんなどが対象になります。
局所浸潤がんの場合は、ホルモン療法単独、もしくは放射線療法と組み合わせて治療が行われますが、周囲臓器浸潤がんや転移がんに対しては、主としてホルモン療法単独で治療が行われます。がんが、前立腺にとどまる限局がんの場合も、治療効果を高める目的で、手術療法や放射線療法の前か後に、ホルモン療法を行うことがあります。手術療法や放射線療法の前に行う場合を「ネオアジュバント療法」、後に行う場合を「アジュバント療法」といいます。
前立腺がんの進行の程度、悪性度によって異なります。がんの性質がおとなしく、PSA値が10ng/mL以下、グリーソンスコア6以下で前立腺内にとどまっている限局がんであれば、がんを前立腺ごと摘除する前立腺全摘除術や放射線療法によって、完治が期待できます。 一方、がんの性質がおとなしくなかったり、PSA値が高かったり、がんが前立腺を包んでいる被膜を越えて広がっていたり、他の臓器に転移している場合は、根治の可能性は低くなりますが、ホルモン療法や放射線療法により、がんと共存して生命を全うすることも期待できます。前立腺がんは早期発見が大切です。50歳になったら定期的にPSA検査を受けましょう。
前立腺は、男性ホルモンの作用によって生長します。前立腺がんの発生にも男性ホルモンが関わっており、年齢を重ねるにつれて、ホルモンのバランスが変化し、前立腺がんができやすくなるのではないかと考えられています。なお、ホルモン療法は、前立腺がんが男性ホルモンの作用により大きくなるという性質を利用して、男性ホルモンの分泌や働きを抑えることにより、前立腺がん細胞の増殖を抑制する治療法です。
老健施設に入所していても、治療を継続して受けられる可能性があります。詳しくはお近くの医療機関に問い合わせてみてください。



