※本サイトに掲載している体験談は個々の患者さんのご経験をインタビューした

内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。

S様の薬物療法に関する体験談

S様の薬物療法に関する体験談

TACE、薬物療法、その他の治療歴があるS様
TACE、薬物療法、その他の治療歴があるS様
S様
30代後半
同居家族:
妻、子供
治療歴
TACE 薬物療法
その他治療
同居家族:
妻、子供
性別   :
男性
発症時年齢:
30代
現在の年齢:
30代後半
現在の職業:
会社員(発症時:会社員)
現在の状態:
経過観察中
既往歴  :
なし
※患者さんの名前は仮名です。
肝がんヒストリー
S様 肝がんの病歴
S様
薬物療法
先生からの提案で取り組めた、さらなる治療
薬物療法
下線が引いてある単語を選択すると、用語解説をご覧いただけます。
 TACEの効果が思わしくないことを受けて、分子標的薬による治療が提案されました。飲み薬なので日常生活を送りながら治療できると聞き、前向きな気持ちになりました。半年ほど頑張って続けました。この時期、病院にもよく行っていたので、その都度、妻に「悪くなってないけど、良くもなってない」といった状況を伝えていました。私自身は、とにかく先の見えない生活というところで前向きな気持ちにはなれず、重苦しい気持ちの日々でした。
 腫瘍マーカーが減らなかったこと、吐き気が嫌だったこともあり、先生に治療を変えてほしいとお願いして検討を重ねた結果、「腫瘍の状況を踏まえて広い面積で治療する」という目的で放射線治療を受けることになりました。治療は予想以上に楽でした。最初の1週間ほど集中的に治療を受け、その後は間隔を空けながら継続したところ、だんだん腫瘍マーカーが下がっていったのです。その様子を見て、やっと治療の効果を実感し始めました。
 ある日、先生から「腫瘍らしきものが見えず、腫瘍マーカーも減っています。再発しないということではないですが、いったん治療としてはひとつのゴールを迎えた状況。今日はひとまず、喜んでいいですよ」と言われました。もう、諸手を挙げたいくらいの気分でした。ただ、見えない恐怖からひとまず解放されたけれど、完全に元通りではない。再発の可能性も言われていたので、家族のことも考えて、浮かれすぎず、落ち着いて生きていこうと思ったことを覚えています。
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科長 奥坂 拓志先生
先生からの一言
医師 奥坂先生
 TACEは腫瘍のできている場所や腫瘍の性格によって効果に差が出ることがよくあります。効果を事前に完全には予測することは難しく、治療を行ってみて初めてわかることもあります。治療効果が十分でなかった場合は、治療効果が高くなるよう工夫しながら、もう一度TACEを行うこともあります。肝臓がんには複数の治療方法があるので、TACEから別の治療に切り替えることもあります。
 このように、次の手段によってよい効果が得られることもよくありますので、医師とよく相談しながら、前向きに治療を続けていただければと思います。