膀胱がんとは?

膀胱がんの分類

膀胱がんの分類

膀胱がんの分類方法には、「組織分類」、「深達度による分類」、「病期分類」などがあります。
これらの分類に基づいて、膀胱がんの治療方針が検討されます。

組織分類

膀胱がんは組織の構造や細胞の性状によって、「尿路上皮がん」、「扁平上皮がん」、「腺がん」などに分類されます。
全体の90%以上を尿路上皮がんが占め、扁平上皮がんが約5%、腺がんが2%以下となっています。

膀胱がんの組織分類と割合
膀胱がんの組織分類と割合
  1. 医療情報科学研究所編:がんがみえる 第1版,
    メディックメディア, 2022, p459をもとに作成

深達度による分類(T分類)

膀胱がんは、膀胱の内側の粘膜に発生したがんが膀胱壁の筋層にまで達しているかどうかによって、「筋層非浸潤性膀胱がん」と「筋層浸潤性膀胱がん」に分類されます。
さらに、浸潤の深さに応じてTa~T4bに分類されます。具体的には、がんが筋層に達していないTa、Tis、T1は筋層非浸潤性膀胱がん、筋層に達しているT2a、T2b、T3、T4は筋層浸潤性膀胱がんに該当します。

膀胱がんの深達度と分類

膀胱がんの深達度と分類

筋層非浸潤性膀胱がん

Ta 粘膜上皮内にとどまり、膀胱内部に向け盛り上がっている
(乳頭状非浸潤がん)
Tis 粘膜上皮内で平らに広がっている
(上皮内がん)
T1 粘膜の下の組織(上皮下結合組織)まで広がっている

筋層浸潤性膀胱がん

T2a 筋層の内側1/2にとどまっている
T2b 筋層の内側1/2を超えている
T3a 脂肪組織まで広がっていることが顕微鏡で確認できる
T3b 脂肪組織まで広がっていることが肉眼で確認できる
T4a 前立腺、精のう、子宮、腟まで広がっている
T4b

骨盤壁、腹壁まで広がっている

骨盤壁、腹壁まで広がっている
  1. 日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会・日本臨床腫瘍学会編:泌尿器科・病理・放射線科 腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版, 医学図書出版, 2021, p12,47をもとに作成
    国立がん研究センターがん情報サービス

病期分類(ステージ

がんの病期(ステージ)とは、がんの進行度を示すものです。
膀胱がんでは0a期~ⅣB期に分類され、ⅣB期がもっとも進行した状態です。
膀胱がんの病期は、「深達度(T)」、「リンパ節への転移(N)」、「遠隔転移(M)」の3つの項目をもとに決まります。

膀胱がんの病期(ステージ)
病期 T分類 N分類 M分類
0a期 Ta リンパ節への転移なし(N0) 遠隔転移なし(M0)
(膀胱から離れた臓器や
リンパ節への転移なし)
0is期 Tis
Ⅰ期 T1
Ⅱ期 T2
ⅢA期 T3、T4a
T1、T2、T3、T4a 骨盤内に1つのリンパ節転移(N1)
ⅢB期 T1、T2、T3、T4a 骨盤内に複数のリンパ節転移(N2)
総腸骨リンパ節転移(N3)
ⅣA期 T4b Nに関係なし
Tに関係なし Nに関係なし 総腸骨リンパ節を超える
リンパ節転移(M1a)
ⅣB期 Tに関係なし Nに関係なし リンパ節転移以外の
遠隔転移(M1b)
  1. 日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会・日本臨床腫瘍学会編:泌尿器科・病理・放射線科 腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版, 医学図書出版, 2021, p45-49をもとに作成
総腸骨リンパ節の位置

膀胱がんの分類と割合

膀胱がんのうち70~80%は筋層非浸潤性膀胱がん、20~30%は筋層浸潤性膀胱がん、5%程度は転移性膀胱がんが占めています1~4)

膀胱がんの分類と割合1~4)
膀胱がんの分類と割合
  1. Aldousari, S., et al.: Can. Urol. Assoc. J., 4(1), 56, 2010
  2. Isharwal, S., et al.: Indian J. Urol., 31(4), 289, 2015
  3. Reesink, DJ., et al.: Sci. Rep., 10(1), 15822, 2020
  4. Fletcher, A., et al.: ISRN Urol., 2011, 545241, 2011

病期別の予後

膀胱がんの患者さんの生存率は、病期の進行とともに低下します。

膀胱がんの5年実測生存率
膀胱がんの5年実測生存率
  1. 国立がん研究センターがん情報サービス
    「院内がん登録全国集計」
  2. https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c15#h-title
    (2025年4月24日時点)をもとに作成
生存率について
ある集団における一定期間のデータをもとに算出したもので、それをそのまま個人の患者さんにあてはめることはできません。
また、膀胱がんの治療は日々進歩しており、数年前の過去のデータと最新の治療による治療成績を比較できないこともあるので参考程度に考えましょう。
5年実測生存率とは、膀胱がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合で、死因に関係なくすべての死亡が含まれます。