胃がんの手術後、創部(傷口)はどうケアする?
手術の傷口は、退院時にはある程度落ち着いているように見えても、完全に治っているわけではありません。自宅に戻ってからも、毎日の観察と適切なケアが大切です。
手術後の感染症状に注意
退院後は、入浴時や着替えの際に、傷口の状態を確認する習慣をつけましょう。手術で縫い合わせた傷の部分に細菌が入り込んで感染を起こすことがあり、これを「創感染」と呼びます。「赤く腫れ上がる」「膿(うみ)が出る」「痛みや熱が出る」といった症状が見られます。もし創感染が起きた場合は、縫った糸を抜いたり、皮膚を切り開いて膿(うみ)を取り除いたり、抗生物質を使ったりして対処します1)。
清潔を保ち、刺激を減らすことが大切
創部の感染予防のため、入浴して創部を清潔に保つようにしましょう。ただし入浴は医師の許可が出てから始める必要があります。身体を洗うときは傷口を強くこすらず、よく泡立てた石鹸で、撫でるように優しく洗います。
退院後の日常生活動作はどう再開する?
退院後は、「早く元の生活に戻りたい」という気持ちが強くなるかもしれません。しかし、手術によって身体には大きな負担がかかっており、完全に回復するまでには時間がかかります。焦らず、段階的に活動を増やしていくことが大切です。
家事・外出などは少しずつ始める
家事は、食器洗いや洗濯物をたたむといった軽作業から始め、身体の様子を見ながら徐々に範囲を広げていきましょう。
外出については、まずは近所への散歩から始めるのがおすすめです。最初は短い距離から始め、疲れを感じたらすぐに休むようにします。体力に自信がつくまでは、無理をしすぎないようにしましょう。
お腹に力を入れる動作を避け、周囲に頼る
お腹の傷口に違和感が残っている手術後の約3ヵ月間は、まだお腹に力が入るような無理な運動をしたり、重いものを持ち上げようとしたりすることは避けましょう2)。重い荷物を運ぶ際はご家族に手伝ってもらうか、キャリーカートを活用するなどの工夫をしましょう。
退院後の回復には個人差があります。「もう大丈夫だろう」と思っても、思った以上に疲れやすくなっていることに驚くかもしれません。活動を増やす際は、「少しやって休む」を繰り返しながら、身体の反応を確かめましょう。
もし、無理をして身体に痛みや違和感が出た場合は、すぐに活動量を減らし、必要であれば医師に相談してください。
- <参考文献>
- 国立がん研究センター がん情報サービス「手術(外科治療) もっと詳しく」
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/operation/ope02.html(2026年6月時点) - 佐野 武 監修:胃がん「手術後」の不安をなくす新しい生活術, 主婦と生活社, 2023, p100