抗がん剤治療(化学療法)中の食事・生活の工夫は?
術前療法を受ける患者さんは、受けない患者さんに比べて「手術後の体重が減りやすい」ことが知られています。 手術や治療の負担に負けず、スムーズに回復するために、手術の前から体のコンディションを整えておくことが大切です。
- 運動の工夫(プレハビリテーション)1):手術のあとは、どうしても筋力が落ちやすくなってしまいます。そこで、手術のあとではなく「手術の前」から意識的に体を動かすリハビリテーション(プレハビリテーション)という取り組みが行われています。抗がん剤治療中や手術までの期間、体力を落とさないように、無理のない範囲で体を動かしましょう。
- 食事の工夫(免疫栄養)2):栄養状態が低下していると、手術後の回復が遅れる原因になります。そのため、通常の食事にプラスして、特定の栄養素(オメガ3系脂肪酸やアルギニンなど)による免疫栄養療法を行うことがあります。これは、体の免疫力を高めて、手術後の感染症を予防し、早期退院を目指すために行われます。
抗がん剤治療と仕事や家事両立のポイントは?3)
治療期間中は、これまで通りの生活や仕事ができなくなるのではないかと不安になるものです。しかし、焦らず情報を整理し、周囲の協力を得ることで、治療と生活の両立を目指すことができます。
仕事を「辞める」と決める前に対策をとる
「迷惑をかけるかもしれない」「自信がない」と、胃がんの診断直後に退職を考えてしまう方も少なくありません。しかし、治療の内容や期間、副作用がわかってくれば、対策も立てられます。
大きな決断は、ご自身の気持ちをゆっくり振り返ったうえで行いましょう。まずは「あわてない」ことが大切です。
お勤め先の就業規則を確認し、休職できる期間や、時短制度、フレックス勤務などが使えるか調べてみましょう。また、会社員・公務員として働いている方は、治療のために休職する場合に傷病手当金を受け取れる可能性がありますので、人事に相談してみましょう。
会社には、労働安全衛生法および関連の「治療と仕事の両立支援ガイドライン」に基づき、社員が健康や安全を守りながら働けるように、環境を整える責任があります。がんであることを会社に伝えるか伝えないかは、自分で決めることができますが、配慮が必要な状況であれば、「今の状況」「今後の見通し」「休む頻度」などを職場の上司や人事に具体的に伝えることで、会社側も対策がとりやすくなります。
経過観察と社会復帰 治療後の職場復帰はいつから?スムーズに戻るためのポイント
家事・育児・介護について、一人で抱え込まない
ご自身の生活の中で、誰があなたの「理解者・サポーター」になり得るか、整理してみましょう。
サポーターをリストアップ:配偶者、親、兄弟、知人など、誰に何をお願いできるか書き出してみます。
- 病院への付き添い、身元保証人
- 食事の準備、洗濯などの家事
- 子供の送り迎え、ペットの世話
公的サービスの活用:患者さんとご家族を支えるためにさまざまな公的サービスが用意されています。自治体の「ファミリーサポート(子供の食事・送迎)」や、介護サービスの「ショートステイ・デイサービス」などもありますので是非検討してみてください。
- <参考文献>
- 窪田 健ほか: 京府医大誌, 134(6), 329-336, 2025
- 日本栄養治療学会 編: がん患者診療のための栄養治療ガイドライン 2024年版 総論編, 金原出版, 2024, p132
- 厚生労働省 「治療と仕事の両立支援ハンドブック」https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/useful/download/(2026年6月時点)