よくあるQ&A集

まずはじめに

胃がんの治療方針は、ステージ(病気の段階)、患者さんの体の状態、そして患者さんご本人の希望を総合的に考慮して決められます1)。担当医から治療の選択肢とそれぞれのメリット・デメリットが詳しく説明されます。患者さんやご家族が納得して治療を進められるよう、担当医とよく話し合い、一緒に方針を決定していきましょう。

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス
    「胃がん 治療」
    https://ganjoho.jp/public/cancer/
    stomach/treatment.html
    (2026年6月時点)

胃がんの治療法には、大きく分けて「内視鏡治療」「手術(開腹、腹腔鏡、ロボット支援)」「薬物療法(抗がん剤治療、免疫療法)」「放射線療法」があります。ステージ(病気の段階)など患者さんの状態に応じた最適な治療を選びます1)。実際に治療する際は、複数の治療法を組み合わせることが一般的です。

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス
    「胃がん 治療」
    https://ganjoho.jp/public/cancer/
    stomach/treatment.html
    (2026年6月時点)

がん治療には、経済的な負担を軽減する「高額療養費制度」や、医療費控除などの制度があります。お金に関する相談は、加入している健康保険組合や市区町村の窓口で受けられます1)。また、治療中の悩みや不安を相談できる場所として、病院内のがん相談支援センターがあります2)。専門の相談員が、治療のことだけでなく、生活や仕事の悩みにも寄り添ってくれますので、ぜひ活用してください。

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス
    編集委員会 編:家族ががんになったとき
    第4版,
    国立がん研究センター
    がん対策研究所 がん情報提供部, 2023, p16
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス
    がんの相談「がん相談支援センター」とは
    https://ganjoho.jp/public/institution/
    consultation/cisc/cisc.html
    (2026年6月時点)

治療のしかた(治療内容や進め方、スケジュールなど)は、患者さんの状態に合わせて担当医が計画を立てます。担当医から患者さんに説明・ご提案したうえで治療を進めますので、その際に詳しくご確認ください。

入院にあたって

一般的に入院時には、パジャマなどの衣類、洗面用具、滑りにくい靴、携帯電話、常用薬、健康保険証などが必要です。しかし、病院によって、持ち物のルールや貸し出し品が異なりますので、入院前に必ず、入院される医療機関から渡される案内をご確認いただくか、直接お問い合わせいただくことをお勧めします。

胃がんの通院や入院期間は、選択される治療法や患者さんの状態によって異なります。内視鏡治療や腹腔鏡手術は入院期間が比較的短く、数日から1週間程度であることが多いです。開腹手術では2週間前後になることもあります。化学療法は通院で行うことが多く、数週間おきに点滴治療を受けます。飲み薬の場合もありますので、その場合はご自宅にて決められた用量・用法で服用いただきます。具体的な期間は、担当医から詳しく説明があります。

治療内容や体の状態によって異なりますが、体調が安定していれば、治療を受けながら日常生活を送ることが可能な場合があります。疲労や体調の変化に応じて、仕事量を調整したり、無理なく過ごすことが大切です。担当医や会社の産業医などと相談しながら、最適なバランスを見つけましょう。

手術の前に

手術後の体力回復のため、手術前にしっかり栄養を摂って体力を蓄えましょう。無理のない運動習慣も役立ちます。過度なダイエットは体力を奪うので控えましょう。また、口腔内を清潔に保つことは、術後の肺炎リスク軽減につながるとされています1)。さらに、禁煙や禁酒も、手術後の回復を助けるために推奨されます。ご不明な点や不安なことは、医療スタッフへご相談ください。

  1. 鈴木 瞳︓日本歯周病学会会誌, 66(4),
    2024, p190-195

内視鏡治療は、口から内視鏡を入れて、病変部分だけを直接取り除く治療です。胃そのものを残せるため、開腹手術と比べて体への負担が少ないのが特徴です1)。入院期間が短く、術後の回復も早いことが特徴です1)

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス
    「内視鏡治療」
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/
    treatment/endoscopy.html
    2026年6月時点)

腹腔鏡下手術は、お腹に小さな穴をいくつか開け、そこから専用のカメラや手術器具を差し込み行う手術です。モニターに映し出された拡大画像を見ながら、お腹の中で慎重に操作し、がんを取り除きます。傷が小さいため、術後の痛みが少なく、体の回復も早いのが特徴です。

  1. 日本胃癌学会 編: 患者さんのための
    胃がん治療ガイドライン 2026年版, 金原出版,
    2026, p68-69

ロボット支援手術は、医師が操作席からロボットアームを遠隔操作して行います。手の震えを自動で制御する機能もあり、より精密で正確な操作が可能です。そのため、手術後の合併症リスクを減らすことが期待できます。

  1. 日本胃癌学会 編: 患者さんのための
    胃がん治療ガイドライン 2026年版, 金原出版,
    2026, p68-69

開腹手術は、お腹を切り開いて、医師が直接胃を切除する方法です。この方法は、がんが進行している場合や、がんが周りの臓器にまで広がっている疑いがあるときなどに選ばれます。

  1. 日本胃癌学会 編: 患者さんのための
    胃がん治療ガイドライン 2026年版, 金原出版,
    2026, p68-69

胃がんの手術では、ステージ(病気の段階)や患者さんの状態により術前後の薬物療法が行われます。「術前療法」は手術の前に抗がん剤治療を行ってがんを小さくします。そして、検査では見つけられないような小さな転移を消滅させることを目指します1)。手術の後に抗がん剤治療を行う「術後補助療法」は、全身に薬を行き渡らせて、残っているかもしれない微細ながん細胞を消滅させ、再発を予防するために行われます1)

  1. 日本胃癌学会 編︓患者さんのための
    胃がん治療ガイドライン 2026年版, 金原出版,
    2026, p40,78-79

胃がんの治療で用いる化学療法抗がん剤治療)では、吐き気や嘔吐、骨髄抑制、末梢神経障害などが現れることがあります。これらの副作用に対しては、症状を和らげるためのお薬を使用したり、症状が強い場合は、お薬の量を調整したり、治療のスケジュールを休止あるいは中止したりすることがあります。これまでになかった症状がある場合は、担当医へ連絡しましょう。

  1. 佐野 武 監修︓胃がん「手術後」の不安をなくす新しい生活術, 主婦と生活社, 2023, p56-65

退院後は、体調を見ながら日常生活の活動を徐々に再開しましょう。外出や入浴は無理のない範囲で、運動は軽い散歩から始め、徐々に増やしてください。重い物を持つなど腹部に負担のかかる活動は、術後3ヵ月を目安に慎重に再開しましょう1)。家事も軽作業から始め、体調に応じて範囲を広げてください。飲酒は控えていただく必要がありますので、担当医に相談してみてください。

  1. 佐野 武 監修︓胃がん手術後の生活読本,
    主婦と生活社, 2013, p.34-35

胃がんの手術では、胃を切除したことで、食事量の低下や胸やけ、食後にめまいやだるさを感じるダンピング症候群などが生じる可能性があります。何か気になる症状があれば、担当医や看護師に相談してみましょう。

手術が終わったら

胃がんによる胃の切除後は、再発転移、術後の合併症、栄養不足、貧血といった体の変化に気づくために、定期検査を行います。検査内容は、血液検査、CT検査などの画像診断、場合によっては内視鏡検査などですが、患者さんの病状により、別の検査が加わることがあります。検査の頻度は患者さんごとに異なります1)

  1. 日本胃癌学会 編: 胃癌治療ガイドライン
    医師用 第7版, 金原出版, 2025, p45-46

胃がんの手術後は、食後にめまいやだるさを感じるダンピング症候群、胸やけ、食事の量が減ることによる体重減少、貧血などが現れる場合があります。体が新しい胃の状態に慣れるまでの間(手術後1年くらい)は、食事や栄養に気をつける必要があります1)。ご家庭で手軽にできる体調チェックの一つは、体重測定です。神経質になることはありませんが、急に体重が減るようなら、担当医に相談しましょう2)

  1. 日本臨床外科学会 胃癌と診断されたら…
    「14-1.食事と栄養療法1―
    胃切除後の食事のとり方―」
    https://www.ringe.jp/civic/20200302/
    p14_1(2026年6月時点)
  2. 胃外科・術後障害研究会
    「胃を切った後の食事と生活」
    https://www.jsgp.jp/pdf/citizen/
    support_eiyou.pdf (2026年6月時点)

手術ができない場合

肝臓などの臓器や胃から遠いリンパ節にがんが転移していたり、がんが腹腔(お腹の内側)に散らばってしこりを作っていたりする場合は手術をしてもがんを取り切れない可能性が高いため、手術をしないことがあります。

  1. 日本胃癌学会 編: 患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2026年版, 金原出版, 2026, p63-64

手術ができない胃がんの場合は、がんを小さくして症状を軽減することや、病気の進行を遅らせることなどを目的として抗がん剤治療が選択されたり、痛みを和らげることを目的として緩和治療が選択されたりします。

  1. 日本胃癌学会 編: 患者さんのための
    胃がん治療ガイドライン 2026年版, 金原出版,
    2026, p37-38,100-101

社会復帰

仕事への復帰時期は、手術の方法、個人の回復状況、お仕事の内容によって大きく異なります。退院後数週間から数ヵ月で軽い作業から始め、無理のない範囲で徐々に慣らしていくことが大切です1)。特に腹部へ負荷がかかる動作(例︓重いものを持つ)、体力を必要とする仕事は、手術後3ヵ月以降が目安となります2)。担当医とよく相談し、必要に応じて勤務先と調整しながら、段階的に復帰を進めていきましょう。

  1. 佐野 武 監修︓胃がん手術後の生活読本,
    主婦と生活社, 2013, p.34-35
  2. 佐野 武 監修︓胃がん「手術後」の不安を
    なくす新しい生活術, 主婦と生活社, 2023, p100-101

患者会やピアサポートは、同じ胃がんの治療を経験した患者さん同士が情報交換をするなど、心の支えとなる場所です。ご自身の経験を分かち合ったり、他の方の話を聞くことで、病気との向き合い方や日常生活の工夫に関するヒントが得られるかもしれません。

手術後しばらくの間は、体力の回復が不十分であったり、痛み止めなどの薬の影響で眠気を感じることがあるため、自転車や車の運転をしてよいかどうか、担当医とご相談ください。運転再開の時期は、個人の回復状況や体力によって異なりますので、必ず事前に担当医にご相談ください。

退院後すぐは、傷口の回復や体力の回復のため、激しい運動や重いものを持つといった腹部に負担がかかる動作は避ける必要があります1)。散歩などの軽い運動から始め、徐々に活動量を増やしていくことが推奨されます。

  1. 佐野 武 監修︓胃がん「手術後」の不安を
    なくす新しい生活術, 主婦と生活社, 2023,
    p100-101

胃がんの手術後も、基本的に「食べてはいけないもの」はありません。ただし、体が新しい胃の状態に慣れるまでの間、特に手術後1年くらいは、食べ方や栄養の摂り方に気をつける必要があります1)
一度にたくさん食べず、1回量を少なめにし、食事や間食を何回かに分けて摂ることが基本です。
消化の悪い食べ物(脂っこいものや辛いものなど)は食べすぎると体調不良につながることがあります2)。禁止ではありませんが、体調を見ながら少量ずつ試しましょう。よく噛んで、ゆっくり食べることも重要です。

  1. 日本臨床外科学会 胃癌と診断されたら…
    「14-1.食事と栄養療法1―
    胃切除後の食事のとり方―」
    https://www.ringe.jp/civic/20200302/
    p14_1(2026年6月時点)
  2. 佐野 武 監修︓胃がん「手術後」の不安を
    なくす新しい生活術, 主婦と生活社, 2023,
    p74-77,80

定期的な診察以外で医療機関を受診する目安としては、高熱が出る、強い腹痛や吐き気・嘔吐が続く、食事が全く摂れないなど、普段と異なる症状がみられた場合です1)。このような症状が現れた際は、自己判断せずに速やかに担当の医師や病院にご連絡ください。

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス
    「薬物療法 もっと詳しく」
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/
    treatment/drug_therapy/dt02.html
    (2026年6月時点)

ダンピング症状・消化に関する困りごと

手術後から長期間たっていても、ダンピング症状が続くことがあります。まずは、担当医や胃がん術後の食事に詳しい管理栄養士に相談してみることをおすすめします。
食事では、1回量を少なめにして回数を分ける、よく噛んでゆっくり食べる、甘いものを一度に多く摂らない、食事中の水分を摂りすぎない、などの工夫で症状が軽くなることがあります。症状の出方には個人差があるため、ご自身に合った食べ方を一緒に見つけていくことが大切です。

胃がんの手術後は、食べ物が腸へ早く流れやすくなります。そのため、脂身の多い肉や牛脂などを食べると、消化液とうまく混ざりにくく、下痢につながることがあります。
脂質をまったく避ける必要はありませんが、脂身の多い肉や揚げ物は量を控えめにし、体調を見ながら少量ずつ試しましょう。肉を選ぶときは、赤身肉、鶏むね肉、ささみ、白身魚など、比較的脂質の少ない食品を選ぶとよいでしょう。よく噛んでゆっくり食べることも大切です。

下痢が一晩中続く場合は、脱水や栄養状態の低下が心配です。我慢せず、早めに担当医へ相談しましょう。水分だけでなく塩分なども失われやすいため、経口補水液を少量ずつこまめにとることも方法のひとつです。ただし、水分や塩分の制限がある方は、医師に確認してください。食事は無理をせず、消化のよいものを中心にしましょう。また、症状に応じて、医師の指示のもとで下痢止めや整腸剤を使用したり、点滴による水分補給が検討されることがあります。

腸内細菌を整えるお薬(プロバイオティクスなど)は、胃がんの抗がん剤の副作用である下痢や便秘の緩和に役立つことが期待されています1)。しかし、その効果的な使い方や、ご自身に合っているかどうかは、お薬の種類や患者さんの症状、体質によって異なります。自己判断で服用せずに、まずは担当医や薬剤師に相談してください。

  1. 日本栄養治療学会 編︓がん患者さんの
    ための栄養治療ガイドライン2025年版, 2025, p90-91

栄養・体重管理について

体重が落ちやすい場合は、1回量を無理に増やすよりも、食事や間食を何回かに分けて少しずつ摂ることが基本です。
少量でもエネルギーやたんぱく質がとれるように、卵、豆腐、魚、肉、乳製品などを毎食少しずつ取り入れましょう。間食には、ヨーグルト、チーズ、プリン、栄養補助食品などを活用するのも方法の一つです。
体重減少が続く場合は、ご自身に合った食事量や補食の内容について、管理栄養士に相談することをおすすめします。

食後しばらくしてから、だるさ、めまい、冷や汗、動悸などが出る場合、後期ダンピング症候群による低血糖症状の可能性があります。症状が出たときに備えて、ブドウ糖や糖分を含む飲み物、飴などを持ち歩くことは適切な対処法の一つです1)。ただし、甘いものを一度に多く摂ると、血糖値の変動が大きくなり、かえって症状悪化につながることがあります。低血糖を繰り返す場合は、担当医や管理栄養士に相談しましょう。

  1. 日本臨床外科学会 「(13) 退院後に起こる
    問題と対処法 胃切除後症候群とは」
    https://www.ringe.jp/civic/20200302/
    p13(2026年6月時点)

タンパク質は、体の回復や筋肉の維持に大切な栄養素です。意識して摂ることはとてもよいことです(腎機能が低下している方や、たんぱく質制限を指示されている方は、医師または管理栄養士に相談しましょう)。特定のプロテインや栄養補助食品で下痢をする場合は、無理に続けず、少量から試したり、種類を変えたりしながら、自分の体に合うものを見つけていきましょう。
また、分岐鎖アミノ酸(BCAA)は筋肉の合成を助け、筋肉の分解を抑える働きがあるとされています。食事だけで十分にたんぱく質をとることが難しい場合は、栄養補助食品などを上手に活用するのも方法の一つです。

個別の栄養指導を希望される場合は、まず担当医や外来看護師に、食事のことで困っていることを伝えましょう。必要に応じて、管理栄養士による栄養指導を受けられる場合があります。また、病院内のがん相談支援センターでも、栄養に関する相談先を案内してもらえることがあります。術前・術後で体調がつらい時期は無理をせず、相談しやすいタイミングで声をかけてみましょう。

胃がんと診断された直後や手術後は、心も体もつらく、食事や栄養のことまで考えられないことがあります。すべてを完璧にしようとせず、まずは「今できること」からで大丈夫です。少量でも食べられるものを口にする、食べやすい食品や栄養補助食品を活用するなど、無理のない範囲で取り組みましょう。つらい気持ちや食事の不安があるときは、一人で抱え込まず、担当医、看護師、病院のがん相談支援センター、管理栄養士などに相談してください。

手術後に体調が落ち着いてきたら、適度な運動によって体力の回復を目指しましょう1)。まずは担当医に相談し、ご自身の体の状態に合った、安全な運動プログラムを教えてもらうことをおすすめします。運動をする際は、早く体力を回復したいからと無理をしてはいけません。あせらず、散歩など軽い運動から徐々に慣らしていきましょう。

  1. 佐野 武 監修︓胃がん「手術後」の不安を
    なくす新しい生活術, 主婦と生活社, 2023, p97

外食・旅行時の食事・日常生活に関する困りごと

事前にレストランやホテルに相談してみるのがおすすめです。テイクアウトの可否など、配慮してもらえるかもしれません。無理なく食事ができるテイクアウト専門店やデリバリーサービスを活用したり、旅行では部屋でゆっくり食べられたりするよう、あらかじめコンビニやスーパーで食事を調達しておくのも良い方法です。

お腹のガスやおならが気になる場合は、早食いを避け、よく噛んでゆっくり食べること、すする食べ方をしないことで、飲み込む空気を減らし、症状が軽くなることがあります。炭酸飲料、豆類、イモ類などは、人によってはガスを作りやすいため、体調を見ながら量を調整しましょう。ダンピング症状が心配な場合は、1回量を少なめにし、食事や間食を何回かに分けて摂ることも大切です。外出時は、あらかじめ休憩場所やトイレの位置を確認しておくと安心です。

まずは担当医に相談し、適切な下痢止めや整腸剤を処方してもらうことを検討しましょう1)。外出や仕事の際には、替えの下着やウェットティッシュを持ち歩く、トイレの場所を事前に確認しておくなどの準備が有効です。職場には事情を説明し、理解を得ておくことも大切です。無理せず、体調を最優先に考え、ご自身に合ったペースで生活できるよう工夫していきましょう。

  1. 国立がん研究センター がん対策研究所
    編:国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド,
    小学館クリエイティブ,
    2026, p91,97

筋力・リハビリについて

胃がんの手術後は、筋力が低下しやすい時期ですが、体調に合わせて無理なく体を動かすことが大切です。まずは、散歩や軽いストレッチなど、全身をゆっくり動かすことから始めてみましょう。姿勢に気を配りながらウォーキングをしたり、室内であれば椅子の背もたれをもってかかと上げをしたりするのがよいでしょう1)。余裕が出てきたらスクワットなどの自重トレーニングや、軽いダンベルを使った腕の運動などもおすすめです2)。大切なのは、痛みを感じない範囲で継続することと、必ず担当医や理学療法士に相談し、ご自身に合った運動指導を受けることです。

  1. 佐野武 監修︓胃がん「手術後」の不安を
    なくす新しい生活術, 主婦と生活社,
    2023, p103
  2. 日本栄養治療学会 編︓がん患者さんのた
    めの栄養治療ガイドライン2025年版, 2025,
    p122-123

水泳は全身運動であり、関節への負担が少ないため、術後のリハビリに適している場合もあります。ただし、傷口の治り具合や体調によって、水泳を始める時期は大きく異なります。感染症のリスクもあるため、必ず担当医から許可を得てから始めるようにしてください。一般的には、退院後しばらく経ち、体力がある程度回復してから検討されることが多いようです。焦らず、担当医の指示に従いましょう。

術前療法の期間は、手術に向けて体力をできるだけ維持することが重要です。運動は体調に合わせて無理のない範囲で行い、ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れましょう。「ややきつい」と感じる程度の運動が目安とされていますが、貧血やだるさがある場合は無理をせず、担当医に相談してください。食事は、少量でもエネルギーやたんぱく質がとれる食品を、何回かに分けて摂りましょう。食事量が減っている場合や体重減少がある場合は、管理栄養士に相談しましょう。

  1. 日本栄養治療学会 編︓がん患者さんのための
    栄養治療ガイドライン2025年版, 2025,
    p97-100

そのほか

クリニックで検査から除菌、フォローアップまでやっているところもあれば、そこまではやっていないところもあるので、医療機関に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

手術後の合併症への対処法や栄養管理のコツなどを相談される方が多いようです1)。担当医に患者会について聞いてみたり、実際に患者会へ問い合わせてみたりすることも可能です。

  1. 胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ
    「胃を切った人 相談室」
    https://alpha-club.jp/category/q_and_a/
    (2026年6月時点)

家族・サポート・心理面について

患者さんの気持ちに寄り添うことが大切です。受診の際には患者さんに付き添って、担当医の話を一緒に聞いたり、メモを取ったりしてあげるとよいでしょう。また、ご家族自身も不安を感じていることと思います。ご自身のケアも忘れないでください。

胃がんの診断や治療による体重減少や外見の変化は、ショックや不安、混乱といった自然な感情を引き起こすことがあります。これらの感情を否定せず、ありのままを受け止めることがよいでしょう。「がん相談支援センター」では、治療だけでなく心のケアに関する相談も無料で受け付けており、専門家からのサポートを受けることが可能です。無理に一人で抱え込まず、積極的に支援窓口を活用しましょう。

まずは体力や日常生活の動作の改善が重要で、そのためには病院の理学療法士や作業療法士によるリハビリが重要です。また、訪問看護や介護サービスも利用できる場合があり、在宅での生活を支えることが可能です。
体の変化による自信喪失に対しては、「がん相談支援センター」で心のケアに関する相談ができます。

体の変化からくる孤独感や疎外感に対しては、信頼できる人に自分の気持ちを話すことが重要です。「がん相談支援センター」では、食事に関する悩みや、それに伴う心の負担についても相談でき、適切なアドバイスや情報提供を受けることができるでしょう。また、同じ病気を経験した人々と交流できる患者会に参加することも、孤独感を解消し、情報交換や精神的な支えを得る有効な手段です。

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