伝えたい人

がんと診断されたことで、仕事や日常生活など、これまで通りにいかないことがあるかもしれません。また、今後のことを考えると不安になってしまい、まわりの人に話を聞いてほしい、支えてほしいと考えることもあるのではないでしょうか。ひとりでがんと向き合うのではなく、自分を身のまわりの人と一緒にがんと向き合うことができれば、少しだけ心もからだも楽になるでしょう。
もし今後のことを考えて、あなた自身があなたのことを知っておいてもらったほうがよいと思う場合は、必要な人にあなたのことを伝えましょう。

パートナー(配偶者)

パートナーのがんによって生活が大きく変化し、患者さん中心の生活になるかもしれません。通院に付き添ったり、家事の分担が変わったり、看護のために仕事の量を減らしたり、逆に治療費のために仕事をはじめる場合もあるかもしれません。そのときのことを考えて、これからの治療のこと、副作用のことなどについて、あなたのいまの状況やあなたの希望、思いを伝えておくとよいでしょう。また、一緒に患者サロンなどの集まりに参加するのもおすすめです。一番近くにいるからといって、言わなくてもわかってもらえるわけではありません。してほしいこと、してほしくないことを感謝の気持ちとともに伝えましょう。

がんであることを、自分よりも歳をとった親には伝えにくいものです。親の年齢にもよりますが、これからの治療について伝えることで、あなたの心の支えになってくれるでしょう。

子ども

子どもは、家族の変化を敏感に察しています。幼い子どもでも、気をつかっていろいろがまんしていることもあるかもしれません。病気について、親子できちんと話す機会をつくりましょう。

子どもの年齢や理解力に合わせて正しい情報を伝えましょう。がんであることを隠したままでは、子どもはあれこれ想像して、より大きな不安を抱え込むようになります。
“治療を受けることで髪が抜けたり、やせてしまったり、ひどく疲れてしまったりすることがあるかもしれないけれど、あなた(子ども)への愛情は変わらない”ことを伝えましょう。

小学生以下の場合

“からだのなかにある病気をやっつけるためにママは病院に行かなきゃいけないんだ。だからしばらくお迎えはパパが行くね。”など、子どもが不安にならないように事前に伝えておきましょう。副作用でひどく疲れている場合、今までと同じように子どもと遊べないかもしれません。子どもが寂しい気持ちになったり、自分のせいだと思ったりしないように、それは病気のせいで、子どもを大好きな気持ちは変わらないことを説明しましょう。

子どもにがんを伝えるポイントは、3つのC1)

  1. それは Cancer(がん)という病気。 がんということばを使う(無理のないタイミングで)。

    あいまいな言い方をすると、子どもに不安や混乱が生じることがある。

  2. それはCatchy(伝染)しない。 風邪のようにうつる病気ではない。
  3. そのCaused(原因)は、誰のせいでもない。あなたやわたしがこれまでしてきたことも、しなかったことも、全く関係ない。

思春期以降の場合

がんについて学習したり、調べたりして理解できる年齢になっています。治療のスケジュールなどを話しながら、一緒に病気について知る機会を持つとよいでしょう。伝えるときには、むやみに恐れる必要はないことを伝え、いつでも気兼ねなく話せる環境をつくることも重要です。事実を伝えることで子どもは成長し、あなたを支えてくれるかもしれません。

思春期以降の場合

親しい友人

気心が知れた友人がいることは素晴らしいことです。親しい友人に伝えることで、自分の頭のなかが整理されたり、聞いてもらえるだけで気持ちが落ち着いたり、世間話などで気を紛らわせることもできます。また、第三者として冷静なアドバイスももらえたり、今後の治療のなかで気にかけてくれたり、つらいことがあったときに元気づけてくれたりするかもしれません。周りの人すべてに伝える必要はありませんが、あなたの心が少しでも楽になるのであれば、親しい友人に伝えてみてもよいでしょう。

思春期以降の場合

会社の同僚、部下

必要に応じて、あなたが治療と仕事の両立をするうえで、協力をお願いしたい人に、治療による副作用や体調の変化について伝えましょう。サポートしてほしいこと、自分がこれまでと変わりなくできることなどを明確に伝えましょう。もちろん感謝の気持ちを忘れずに。
食欲がなく、体力的につらいときには、食事会や懇親会などのイベントはしばらく参加できないこともあります。今まで通りに誘ってもらいたいのか、参加できないのかも伝えましょう。