食事をあまり食べられないときの食べ方のコツ

がんの治療中は、食欲がなく、食事が少量しか食べられない日もあるかもしれません。そんなときに知っておきたい、少しの量でも栄養を摂りやすい食べ方のコツや食品をご紹介します。
食事は毎日続くもの。無理をしていると、楽しいはずの食事が義務になってしまいます。
食べられないときは無理をせず、気分のよいときに食べられるものを食べましょう。

少しのプラスで、栄養アップ!

少しのプラスで、栄養アップ!

食事の量が少ないとき、プラスしたいのは脂質です。脂質は、少量でもエネルギーを摂取できる栄養素なので、食事で摂取するエネルギー量を増やすポイントになります。

<普段の食事へのプラスポイント>

  1. 味噌汁にプラス

    味噌汁にはごま油やバターを加えるのがおすすめ。ごま油やバターのいい香りが食欲をそそります。
  2. 食パンにプラス

    食パンにはジャムやはちみつの他に、バターやピーナツクリームをプラス。クリームチーズも食パンによく合いますよ。
  3. スープにプラス

    あっさりしたスープもおいしいですが、水の半量を牛乳や豆乳にしてポタージュにするのもおすすめです。また、仕上げに生クリームを入れると味わいもまろやかになり、食欲がないときでも無理なくエネルギーアップすることができます。
  4. 麺類にプラス

    そうめんやうどんなどには、先に紹介したごま油の他に、卵や天かすなども加えるのもおすすめです。
  5. おかずにプラス

    おかずにはマヨネーズやすりごまを食べる前にトッピングすると、エネルギーアップにつながります。

調理の工夫でエネルギーアップ

調理の工夫でエネルギーアップ

食事のエネルギー量をプラスしたいときに、工夫したいのが調理法です。料理は、ゆでる、蒸す、煮るという調理法よりも、揚げる、炒める、焼くほうがエネルギーがアップします。たとえば、豚肉を食べるのであれば、しゃぶしゃぶではなく唐揚げやとんかつ、白米を食べるのであればチャーハン、野菜を食べるのであれば、おひたしよりも野菜炒めなど、油を使った調理法を取り入れてみましょう。
油を使った揚げ物や炒め物、お肉などが食べにくいときには、酸味や香りをプラスすると食べやすくなる場合もあります。お酢やレモンの酸味をプラスして、さっぱりとした口当たりにする、バジルや大葉、しょうが、みょうがなどの香りのあるものをプラスするなど、食べやすくする工夫も取り入れてみてくださいね。

身近なお店で調達できる少量高栄養の食品

身近なお店で調達できる少量高栄養の食品

少量高栄養という言葉を耳にしたことがありますか?その名の通り、少しの量で高いエネルギーやたんぱく質などの栄養素が摂れるので、食欲がないときの頼もしい味方となる食品です。
たんぱく質は筋肉などをつくる栄養素です。たんぱく質の補給は必要ですが、たんぱく質から筋肉などに合成されるときはエネルギーも必要になるので、双方のバランスも大切になります。
まずはエネルギー補給を優先し、筋肉などに蓄えられたたんぱく質が分解されるのをある程度防いでから、たんぱく質が豊富な食品を摂りましょう。

栄養素から食品を分類すると、エネルギーが補給できる食品、たんぱく質が補給できる食品、エネルギーとたんぱく質の両方が補給できる食品の3タイプがあります。

さまざまなメーカーの商品がありますが、ここでは身近なコンビニエンスストアやスーパーマーケットで買うことができる、少量高栄養の食品をご紹介します。食欲や体調と相談しつつ、栄養バランスに少しでも気を配れるといいですね。

<エネルギーが補給できる食品>
  • カステラ
  • まんじゅうや大福などの和菓子
  • チョコレート
  • シャーベット など
<たんぱく質が補給できる食品>
  • ヨーグルト
  • 豆腐 など
<エネルギーとたんぱく質の両方が補給できる食品>
  • アイスクリーム(高脂肪タイプのもの)
  • プリン
  • チーズ など

登山やマラソン、サイクリングなどがお好きな方は、いわゆる行動食や補給食をイメージすると、わかりやすいかもしれません。長時間の運動を伴うスポーツには、エネルギー補給が必須。しかも持ち運ぶ必要があるため、小さくてエネルギーが摂れる少量高栄養の食品が適しているのです。そのようにイメージしてみると、上記以外の食品も選びやすいかと思います。
お子さんが大好きなおやつのようなものが多いので、ご家族に小さな子供がいる方は一緒に選ぶのもおすすめです。

食べ方の工夫や食品の選び方を知って、量が食べられないときは無理をせずに毎日の食事を楽しみましょう。

食事が少量しか食べられないときにもおすすめ

ピンチョス2種類

ピンチョス2種類

栄養士コメント

ピンチョスとはイタリア語で串に刺し、つまんで提供する食べ物の意。サラダの材料も片手でつまめ、気軽に口に運べます。

栄養価(1人分)

エネルギー 98 kcal
たんぱく質 7.3 g
脂質 5.9 g
炭水化物 4.0 g
食物繊維 0.8 g
食塩相当量 0.9 g
カリウム 191 mg
カルシウム 65 mg
マグネシウム 13 mg
リン 95 mg
0.4 mg
亜鉛 0.6 mg
ビタミンA 39 µg
ビタミンE 0.8 mg
ビタミンB1 0.07 mg
ビタミンB2 0.09 mg
ビタミンB6 0.13 mg
ビタミンB12 1.4 µg
葉酸 21 µg
ビタミンC 16 mg
ビタミンD 4.2 µg
コレステロール 17 mg

材料(1人分)

使用量

<サーモンときゅうり>
スモークサーモン 1・1/2枚分(15 g)
きゅうり ピーラーで削ったもの6枚分(30 g)
レモン いちょう切り3枚分(2 g)
<プチトマトとチーズ>
プチトマト 3個(30 g)
モッツァレラチーズ(ひとくちタイプ) 3個(15 g)
A 塩 少々(0.3 g)
A オリーブ油 小さじ1/2(2 g)
A 粗びき黒こしょう 少々
A ピンクペッパー(あれば) 少々

手順

  1. きゅうりはピーラーでリボン状に削り、2枚重ねて2~3cm幅に折りたたみます。
  2. レモンは輪切りを、さらに6等分のいちょう切りにします(そのうちの3枚を使います)。①のパンに②をのせ、Aの材料を混ぜ合わせた卵液を作ってかけます。
  3. ①のきゅうり、3等分に分けて一口大に折ったサーモン、②のレモンを重ねてピックで刺します。
  4. プチトマト、モッツァレラチーズを一緒にピックに刺します。
  5. ③と④をそれぞれ3個ずつ作ります。器に盛り、全体にAをかけて、出来上がりです。

好みの具でひと口彩り細巻き

好みの具で ひと口彩り細巻き

栄養士コメント

定番の材料にひと工夫。具なしの細巻きを作り、好みの具をのせれば、簡単で華やか。普段にも、おもてなしにもピッタリです。

栄養価(1人分)

エネルギー 181 kcal
たんぱく質 3.8 g
脂質 0.7 g
炭水化物 38.9 g
食物繊維 1.1 g
食塩相当量 0.4 g
カリウム 92 mg
カルシウム 20 mg
マグネシウム 16 mg
リン 56 mg
0.4 mg
亜鉛 0.8 mg
ビタミンA 38 µg
ビタミンE 0.2 mg
ビタミンB1 0.04 mg
ビタミンB2 0.06 mg
ビタミンB6 0.04 mg
ビタミンB12 1.1 µg
葉酸 35 µg
ビタミンC 5 mg
ビタミンD 0.0 µg
コレステロール 6 mg

材料(1人分)

使用量

ご飯 100 g
板海苔 1/2枚(1.5 g)
のせる具(例)
①たらこ 少々(2 g)
①小ねぎ(小口切り) 1/5本分(1 g)
②梅肉(梅干しの果肉をほぐしてもよい) 少々(2 g)
②青じそ 少々(1/8枚程度)
③昆布つくだ煮 少々(2 g)
③白炒りごま 少々(0.5 g)

手順

  1. ご飯はあらかじめ粗熱を取ります。
  2. 海苔は、細巻き1本(6等分)に対し、板海苔の1/2を使います。短いほうを二つ折りにして、キッチンばさみで切り離します。
  3. ラップを広げ、②の海苔をザラザラした面を上にしておき、巻き終わりの奥側を2cm程残して、ご飯を広げます。
  4. 手前から奥へ巻きます。濡れ布巾を用意し、包丁を拭きながら6等分に切り分けます。切り口に好みの具をのせて出来上がりです。