便秘を予防&改善するための食事のポイントとは?

「たいしたことないから」と放っておかず、しっかり対策をとりましょう。

がんの治療中は、食事の変化や運動不足、治療などによって便秘になりがちです。便秘はつらいだけでなく、お腹の張りや腹痛など別の症状につながることも。「たいしたことないから」と放っておかず、しっかり対策をとりましょう。ここでは身近に試すことができる便秘予防と改善のポイントをお伝えします。

がん患者さんの半数以上が便秘に悩んでいた!

がん患者さんの半数以上が便秘に悩んでいた!

2020年、認定NPO法人キャンサーネットジャパンが実施した「がん治療時の食事と栄養に関するアンケート調査」では、がん患者さんの半数以上が「便秘に悩んでいる」という結果が出ています。

調査期間
2020年9月11日~9月18日、回答者数406人

なぜ、がん患者さんに便秘が多いのでしょうか? がん患者さんならではの要因は、主に下記の3つです。

  1. がんが直接影響する場合

    例えば、腫瘍などによって腸が圧迫されるような場合には、便秘になりやすいといわれています。
  2. がんが二次的に影響する場合

    がん治療の関係などから、食欲がなくなったり、水分を摂る量が減ったりします。また、治療前と比べて思うように体が動かしづらくなったり、慣れない治療のストレスを感じたりするなど、生活や行動の変化も便秘に影響するといわれています。
  3. 治療のお薬が影響する場合

    お薬によっては、お通じに影響することがあります。

つい放っておきがちな便秘。放置するとどうなる?

つい放っておきがちな便秘。放置するとどうなる?

便秘はもともとの生活習慣などによって個人差がありますが、以下のような症状があって便がすっきりと、そして十分な量出ない状態が続くなら、便秘と考えてもよいでしょう。

〈主な便秘の症状〉

  • 排便の間隔が不規則
  • 数日以上、排便がない
  • 便の量が少ない
  • 便がかたくて排便しにくい
  • すっきりと排便できた感じがしない
  • お腹が張っている

便秘が続いたり、ひどくなったりすると、次のような症状が出ることもあります。そのため、早めの対応がポイントとなります。

  • 腹痛

    便秘になると、たまった便からガスが発生して腸内に充満することで、お腹が張ったり、痛みが出たりすることがあります。

  • 嘔吐、悪心

    腸に便がたまった状態で食事を摂り続けると、食べた物が腸へ下りていくことができず、胃の中に逆流することがあります。胃がそれを押し戻そうとするため、吐き気を感じるようになります。

  • 消化管の閉塞

    かたい便がつまってしまって、便が流れていかなくなり腸閉塞(糞便性イレウス)を起こすことがあります。

食物繊維だけじゃない!便秘におすすめの食事はこれ!

食物繊維だけじゃない!便秘におすすめの食事はこれ!

便秘は軽症であれば、食事や運動などのケアで予防・改善することができます。

食事で予防・改善

お腹の調子を整える食物繊維や発酵食品を積極的に摂りましょう。がんの治療中で「味がわからない」「食欲がない」「口内炎がつらい」「飲み込みづらい」などの症状があっても、調理の工夫によって食物繊維や発酵食品も摂りやすくなります。食事や水分補給の制限がある場合は、医師と相談しながら、食物繊維を多く含んだ食品を積極的に摂るようにしましょう。

  • 食物繊維

    食物繊維は体内で消化されないため、便の量を増やします。増えた便は腸を刺激し、ぜんどう運動を活発にすることで、便通をよくします。また、食物繊維は腸内に長くとどまって便の中に水分を取り込むため、便が硬くなるのを防ぐ働きも。食欲不振などで食事が摂りづらいときは、スーパーや薬局などで見かけるパウダー状の食物繊維などを飲み物に溶かして、飲んでみるのもいいかもしれません。

    食物繊維を多く含む食品の例

    麦ご飯、玄米、豆類、きのこ類、いも類、海藻類、ごぼう、たけのこ、りんご、バナナ など

  • 発酵食品

    乳酸菌やビフィズス菌などを含む発酵食品を適切に摂ることで、便秘を和らげる効果があるといわれています。

    発酵食品の例

    ヨーグルト、ぬか漬け、納豆、みそ、しょうゆ、かつお節、米麹 など

食物繊維だけじゃない!便秘におすすめの食事はこれ!

そのほかの生活習慣で予防・改善

食事のほかにも、腸の働きをよくしたり、排便を促したりするためのおすすめの習慣があります。以下はどれも実践しやすいので、ぜひ試してみてください。

  • 水分補給

    体内の水分が少なくなると便の水分量も減り、便がかたくなって排便しづらくなります。こまめに水分を摂るように心がけましょう。
    また、朝起きてすぐに、水などの水分をコップ1~2杯飲むと腸が刺激されて、便意を感じる場合もあるのでおすすめです。

  • トイレに行く習慣

    便意を感じたら我慢をせずにトイレに行きましょう。我慢を続けると腸の動きが悪くなり、便意を感じにくくなります。もし便意がなくても、毎日決まった時間にトイレに行き、排便する習慣をつけることもよいといわれます。ただし、なかなか便意が感じられないのに長い間、便座に座り続けると、痔など別の症状の原因になることもあるので、短時間で切り上げましょう。

  • 適度に体を動かす

    激しい運動をイメージする必要はありません。まずは日常生活の中で動く回数を増やしましょう。外出ができないときは、少し家事の時間を増やしてみる、ベッドから起き上がっている時間を増やしてみるなど、まずは小さなことからでも構いません。体調が良くなり、普段の生活で動けるようになったら、家事をするなど少しずつ体を動かす時間を増やしていきましょう。
    お腹をやさしくマッサージしたり、入浴などで腰やお腹を温めたりするのもおすすめです。

便秘予防・改善レシピ

アボカドバナナ
ヨーグルトシェーク

アボカドバナナ ヨーグルトシェーク

栄養士コメント

お腹の調子を整えるヨーグルトと食物繊維を含むアボカドで作るドリンク。ヨーグルトとレモンの酸味でさっぱりとした口当たりです。

栄養価(1人分)

エネルギー 137 kcal
たんぱく質 3.1 g
脂質 8.6 g
炭水化物 14.8 g
食物繊維 2.7 g
食塩相当量 0.1 g

材料(1人分)

アボカド 1/4個(40 g)
バナナ 1/2本(40g)
ヨーグルト 50 g
レモン汁 小さじ1/2(2.5g)

手順

  1. アボカドは種を取り、皮をむいて適当な大きさに切ります。
  2. ミキサーに1のアボカド、バナナ、ヨーグルト、レモン汁を入れてなめらかになるまで撹拌したら完成です。
  • ミキサーがない場合は厚手のポリ袋に材料を入れ、袋の上から揉んで作ることもできます。その際は完熟のアボカドを選びましょう。

電子レンジで簡単
大豆入りキーマカレー

電子レンジで簡単 大豆入りキーマカレー

栄養士コメント

たんぱく質の他、お腹の調子を整える食物繊維を含む大豆入りのキーマカレー。料理の味がわかりにくいときのお役立ちレシピです。

栄養価(1人分)

エネルギー 473 kcal
たんぱく質 20.3 g
脂質 13.8 g
炭水化物 74.3 g
食物繊維 7.9 g
食塩相当量 1.5 g

材料(1人分)

ご飯 150 g
合びき肉 50 g
大豆水煮 50 g
トマト水煮(ダイス) 40 g
玉ねぎ(みじん切り) 40g(玉ねぎ1/4程度)

調味料

使用量

ケチャップ 大さじ1(18g)
中濃ソース 大さじ1/2(9g)
カレー粉 小さじ1(2g)
しょうが(すりおろし) 2 g
にんにく(すりおろし) 1 g

手順

  1. 耐熱ボウルでひき肉、大豆、トマト水煮と玉ねぎを加えて混ぜ合わせ、ふんわりとラップをします。
  2. 電子レンジ(600W)で3分加熱して、一度取り出し、調味料を加えてかき混ぜ、再度ラップをしてさらに3分加熱します。
    ※加熱時間は1人分の目安。
  3. 器に盛ったご飯にかけて完成です。
  • ご飯を麦ご飯にするとさらに食物繊維がたっぷり摂れます。

良くならない場合は気軽に相談を

自分で対策を行っていても思うように改善されない場合もあります。そういった場合は、主治医や管理栄養士に気軽に相談してみましょう。