がん治療の副作用対策とセルフケア:
下痢

がん治療において、下痢は頻度の高い副作用として知られています。下痢によって水分が失われ、口の渇きや尿量の減少といった脱水状態になりがちなことにも注意が必要です。ここでは下痢の対策とセルフケアについてご紹介します。

下痢の症状

水分を多く含む便が多量に排泄されることがあります。治療前と比べて、排便の回数や量、便の状態がどう変わったのかを伝えましょう。

伝え方の例:

  • 水っぽい便がシャーシャー出る。
  • 排尿のたびに便も出てしまう。

がん治療中に下痢が起こるしくみ

抗がん剤治療による消化管粘膜の障害や腹部への放射線照射、抗生物質の投与、何らかの感染、精神的・心理的な緊張などによって起こることがあります。また、大腸の手術後など、治療の一環であえて下剤を服用して便を緩くしているケースもあります。

  • 腹膜播種が起こっているときや腹水があるときに起こりやすいです。
  • 抗がん剤投与後は数時間以内に起こる場合、数日~10日くらい経ってから起こる場合があるといわれています。

下痢の対策

下痢の対策
  • 下痢止めや整腸剤を服用します。
  • 水分摂取を控えてしまいがちですが、下痢のときは脱水になりやすいため、経口補水液などでこまめに水分を補給しましょう。
  • 水様便が続く場合は点滴で水分や栄養の補給をおこないます。
  • 腹部を温めると症状が楽になる方もいます。

下痢があるときの
食事の工夫

下痢があるときの食事の工夫

症状が落ち着いたらスープやゼリー、果物などを少しずつ食べ始めましょう。
油っぽく消化の悪いメニューや味の濃いメニュー、乳製品や香辛料を多く使ったメニューは避けましょう。

おすすめ食品・メニュー

  • 野菜や果物

→ 水溶性の食物繊維が腸の動きを整えてくれます。

  • 温かいもの

→ お腹が冷えないようにしましょう。

調理のワンポイントアドバイス

煮物やスープにするなど、加熱して食材をやわらかくするとよいでしょう。

どのくらいの排便状況が理想的か、主治医に確認しておきましょう

上に記載した通り、大腸の手術後など、治療の一環で便を緩くしているケースもあるため、どのくらいの排便状況を目指してコントロールすればよいのか、確認しておきましょう。

こんなときは相談を:

  • 治療前に比べて排便の回数や性状が変わった。
  • 下痢に加え、発熱や腹痛もある。
  • 下痢止めを服用しても効果がない。