がん治療におけるコミュニケーションギャップの例
~先進医療~
気になる先進医療のこと
進歩し続けているがん治療の中でも、先進医療と聞くと、最先端で効果に優れているというイメージがあるのではないでしょうか。そして、多少のお金がかかってもその治療にかけてみたいという患者さんもいらっしゃるでしょう。
先進医療とは、まだ有効性や安全性などの評価が定まっていない新しい医療技術のうち、これから保険適用の対象にするかどうかの評価をおこなう医療技術として、厚生労働省が指定したものです。
現時点では、十分な有効性や安全性などの情報が得られていない治療のため、高度な技術レベル・施設基準を満たすと認められた医療機関だけが実施しています。誰でも受けることができるわけではなく、患者さんが希望し、かつ医師がその必要性と合理性を認めた場合のみに限られます。先進医療の費用は高度な技術を用いるため高額となり、さらに健康保険が適用されないため、患者さんが高額な費用の全額を自己負担する必要があります。ただし、同時に受ける診断、検査、投薬などを含む治療には健康保険が適用されます(混合診療)。
生命保険会社が設定している医療保険の「先進医療特約」は、この高額な医療費負担をサポートすることを目的としています。
先進医療と最新治療はどう違うのか
現在、一般的におこなわれているがん治療は、多くの患者さんが参加した臨床試験で有効性と安全性が検討された「科学的根拠がある」治療として健康保険が適用されています。
一方で、最新治療とうたわれている治療の中には、科学的根拠に基づいた治療とはいえないものも数多く存在します。先進医療とは、新しい治療法の中でも国が指定した高度な医療技術のみを指し、最新治療とは異なります。厚生労働省のホームページには、84種類の先進医療技術の名前と概要が公開されており(2022年9月21日時点)、先進医療はちまたに溢れる最新治療より、厳格な管理がおこなわれています。しかし、先進医療として指定されているからといって、新しい標準治療になるとは限らないので、注意が必要です。
医師にあなたの希望を知ってもらうことが大事
医師は有効性や安全性が確立している標準治療を最初におすすめします。しかし、患者さんの希望を大切にして患者さんと一緒に治療法を決定したいと考えています。治療法について悩んだときは、あなたが治療に何を求めているかを医師に話して相談してみましょう。あなたの希望を整理するときに、「わたしらしいがん治療ノート」が役に立ちます。医師と話し合い、デメリットについても十分理解したうえで先進医療を希望するときには、以下の情報も参考にしてみてください。
先進医療を受けることができる施設の情報はこちら
- 参考
- 厚生労働省 先進医療制度の概要
- 監修
- 国立がん研究センター がん対策研究所
- 更新月
- 2022年12月