がん治療中、口内炎や口の中の乾燥で食事がうまく食べられない…。そんなときに。

  • 口内炎が痛い
  • 口の中が乾く
  • 食べ物が飲み込みづらい
  • 舌が痛くてご飯が食べられない

治療中、こんな症状に悩まされていませんか?
食べ物が口内炎にしみたり、飲み込みづらさがあったりすると、せっかくの食事の楽しみも半減……。これらは一時的な症状であることが多いとはいえ、治療中でも今まで通り食事がしたいですよね。
そんなときの上手な食べ方をご紹介します。

口の中への刺激を避けましょう

口の中への刺激を避けましょう

食べやすくするためには、口内炎の痛みが増すような食材を控え、口の中への刺激を減らすことが大切です。具体的に気を付けたいのは、

  1. 温度
  2. 味付け
  3. 硬さ

の3つの刺激です。

まず温度について。極端に熱いものは刺激が強すぎるため、人肌程度に冷ましましょう。次に味付けですが、濃い味付け、酸っぱいもの、辛いものは、口内炎にしみたり、飲み込みづらくなる原因になったりします。味付けは、出汁を利かせて薄味に仕上げるだけで、グッと食べやすくなりますよ。最後は、硬さです。せんべいや硬いパンなどの噛みごたえのあるものや、フライの衣など硬くてポロポロとした細かいもの、また、芋などの食感がモソモソしたものは口の中に残りやすいので、口内炎を刺激します。煮汁に浸す、汁物と一緒に食べるなどしてみてくださいね。

<口やのどへの刺激が強い食べ物の例>
  • 極端に熱いもの
  • 酸味のある野菜や果物(トマト、いちご、レモン、キウイフルーツなど)
  • 酢を使った料理(酢の物、マリネなど)
  • 辛いもの(カレーライス、キムチ、からし、わさび、とうがらしなど)
  • 硬いもの(フランスパンなどの硬いパン、クラッカー、ナッツ、せんべいなど)
  • 口の中に張り付きやすいもの(板海苔、餅など)

ちょっとの工夫でおいしく食事を

ちょっとの工夫でおいしく食事を

痛みがあるとき、飲み込みづらいときに、無理をして一度にたくさん食べる必要はありません。食べられそうなときに少しずつ食べれば大丈夫。以下を参考に、少しの工夫を料理にプラスして食事の時間を楽しみましょう!

  • やわらかくする

    口の中やのどに違和感を感じるときに、硬い食べ物はNG。材料を茹でたり煮込んだりしてやわらかくする、水分を多くしたり裏ごしをしてなめらかにするなど、調理の際にひと工夫を。噛む回数が減るので口の中を刺激せず、飲み込むときの負担が軽くなります。

  • 大きいものは小さめに切る

    一度に多くの食べ物が口に入ると、食べにくい上に噛む回数も増えてしまいます。小さめの一口大を目安に材料を小さく切って、食べやすくしましょう。とはいえ、小さすぎるのも逆効果。例えばミンチやおからのような細かいものは、口の中でバラバラになりやすいので、口内炎に触れたり、飲み込むときにむせやすくなったりする原因になります。そんなときは、とろみをつけると食べやすくなるのでおすすめです。

<刺激が少なく、食べやすいものの例>
  • 水分が多くやわらかいもの(おかゆ、豆腐、プリン、ゼリーなど)
  • 牛乳や乳製品を使ったもの(牛乳、アイスクリーム、ミルクセーキなど)
  • バナナ
  • とろみがある食品(とろろいも、里いもなど)

食事がうまく食べられない…。そんなときに。

里いももちバターしょうゆ風味

里いももちバターしょうゆ風味

栄養士コメント

バターとしょうゆの香りが食欲をそそり、もちっとした食感ですが歯切れはよく、独特の粘りで飲み込みやすい一品です。

栄養価(1人分)

エネルギー 148 kcal
たんぱく質 2.4 g
脂質 8.2 g
炭水化物 21.1 g
食物繊維 8.7 g
食塩相当量 0.5 g

材料(1人分)

使用量

冷凍里いも 100 g
片栗粉 大さじ2/3(6 g)
バター 10 g
しょうゆ 小さじ1/3(2 g)

手順

  1. 鍋に湯を沸騰させ、凍ったままの里いもを入れます。竹串がすっと通るまで6~8分ゆでて、ざるなどにあげます。
  2. ボウルに①の里いもを入れ、熱いうちにつぶし、片栗粉を加えてよく混ぜます。粗熱が取れたら3~4等分して平たくまとめます。
  3. フライパンにバターを入れて溶かし、②を中火で焼きます。両面きつね色になったら火を弱めてしょうゆを入れ、全体にからめて完成です。

レンジで簡単豆乳温やっこ

レンジで簡単豆乳温やっこ

栄養士コメント

電子レンジを使用し、あっという間に完成。絹ごし豆腐と豆乳のやさしい甘さ、さらにとろりとしてやさしい口当たりです。

栄養価(1人分)

エネルギー 67 kcal
たんぱく質 6.6 g
脂質 3.9 g
炭水化物 2.8 g
食物繊維 1.1 g
食塩相当量 0.5 g

材料(1人分)

使用量

絹ごし豆腐 1/4丁(75 g)
豆乳(成分無調整) 大さじ3(45 g)
かつお節 小1/2パック(1 g)
しょうゆ 小さじ1/2(3 g)

手順

  1. 深めの耐熱容器に豆腐と豆乳を入れ、ラップをかけます。
  2. 電子レンジ(600W)で、吹きこぼれないよう様子を見ながら1分30秒ほど加熱します。
    ※加熱時間は1人分の目安
  3. かつお節を振り、しょうゆをかけていただきます。(熱いときは食べやすい温度まで冷ましてからお召し上がりください。)

よくある質問

  • 口内炎ができている時におすすめしたい食材は「卵」と「豆腐」。どちらも「やわらかい」「飲み込みやすい」「塩味が薄い」ことが特長です。肉や魚に比べて味が淡白で、においも感じにくいので、食欲がないときでも取り入れやすいでしょう。
    下記の食品・メニューがおすすめです。

    • おかゆ:梅がゆは刺激になるので、白がゆ・卵がゆ・鮭がゆなどがおすすめ
    • 卵豆腐、茶碗むし:豆腐と同じく、あまり噛まずに食べられるのでおすすめ
    • 蒸しパン:パンの耳など硬い部分がなく、全体がふんわりしているので食べやすい
    • ヨーグルト:なめらかな食感で食べやすく、のど越しもよい
    • 経口補水飲料、スポーツドリンク:身体に近い成分が含まれているので、果物ジュースなどに比べて患部がしみにくい
    • サンドイッチ:具材はマヨネーズを使ったツナや卵、ポテトサラダなどなめらかな食感のものがおすすめ
    • フレンチトースト:パンがやわらかく、刺激が少ない
    • あんかけうどん、卵雑炊、月見うどん(ぶっかけ):やわらかく飲み込みやすい

    口内炎ができたときでも、刺激の少ないものや飲み込みやすい食べ物を選ぶことで、栄養をきちんと摂ることができます。色々試しながら、しみない食材、食べやすくなる方法を見つけていきましょう。

    口内炎のレシピと食事について詳しく見る:
    https://www.az-oncology.jp/tips/helpful-food01/

  • 口内炎の予防には口の中を清潔にしておくことが大切です。治療を開始する前にご自身の口の中をよく観察しておきましょう(治療後の口の中の変化に気づきやすくする)。また、虫歯など治療が必要な歯はないか、かかりつけの歯科などで確認してもらい、その後も定期的に口腔内のチェックやクリーニングをおこなうのがおすすめです。
    歯みがきは食事をしたかどうかにかかわらず、1日3回おこないましょう。

    口内炎の対策とセルフケアについて詳しく見る:
    https://www.az-oncology.jp/cancer_treatment/side_effect/side_effect01/

  • 口内炎の痛みが増すような食材を控え、口の中への刺激を減らすことが大切です。下記のような食べ物は避けたほうがよいでしょう。

    口やのどへの刺激が強い食べ物の例

    • 極端に熱いもの
    • 酸味のある野菜や果物(トマト、いちご、レモン、キウイフルーツなど)
    • 酢を使った料理(酢の物、マリネなど)
    • 辛いもの(カレーライス、キムチ、からし、わさび、とうがらしなど)
    • 硬いもの(フランスパンなどの硬いパン、クラッカー、ナッツ、せんべいなど)
    • 口の中に張り付きやすいもの(板海苔、餅など)