がんになっても -がんの治療を、その人「らしい」生活のなかで。-

アストラゼネカ

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乳がん・前立腺がん・肺がんを中心に患者さん・ご家族の体験談、高額療養費制度などの情報を紹介

質問ガイド

「あなたは担当医や医療者と話せていますか?」
治療は納得して受けたい ――そう思っていても、医療者とのコミュニケーションの際、何を知り、何を質問すればよいのかわからない、という方も多いことでしょう。
この冊子では、そのような患者さんとご家族のために質問例をご紹介します。

監修:
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
精神神経病態学教室 教授 内富 庸介 氏
東京大学大学院医学系研究科
がんプロフェッショナル養成プラン特任助教 白井 由紀 氏

はじめに

医師から病気を伝えられたとき、価値観や将来の生活への影響を考慮しながら、納得して治療を受けるためにはどのようなことが必要でしょうか?

それは、患者さんやご家族が十分に情報を収集し、理解することです。
そのためには、医療者とのコミュニケーションが重要になります。
医療者からの説明を聞くことに加え、説明を受ける前に気になることや疑問点を整理しておくこと、説明を受けた後にその内容を振り返り、よく理解できなかった点や新たな疑問について話すことは、医療者とのよりよいコミュニケーションの糸口となります。

しかし、国立がん研究センターでがん患者さんを対象に行われたアンケート調査* では医療者とのコミュニケーションの際に、「何を質問したらよいかわからない」「質問を促してほしい」「よくある質問について説明してほしい」という声が多く聞かれ、患者さんやご家族にとって、医療者へ質問をすることは、簡単ではないことがうかがえました。

この冊子では、この調査結果をもとに、医療者が患者さんとご家族からたずねられることの多い内容を質問例としてご紹介しています。
質問例を参考に、医師や看護師、薬剤師などの医療者に、今の気持ちや知りたいことを話してみてください。
患者さんやご家族が、医療者とともに考えていくことで、自分らしい病気との向き合い方をみつけていただく一助となれば幸いです。

*
厚生労働科学研究費補助金第3次対がん総合戦略研究事業

「QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発研究」の支援を受け実施されました。

参考文献

Shirai Y, Fujimori M, Ogawa A, Yamada Y, Nishiwaki Y, Ohtsu A, Uchitomi Y:Psycho-Oncology. 2011; doi : 10.1002/pon.1955

よりよい医療を受けるためのポイント

医療者とのよりよいコミュニケーションのための大切なポイントをご紹介します。

コミュニケーションの7つの道しるべ 〜がんと上手に向き合うために〜

自分の状況について理解する

  1. 自分の病気について、理解するように努めましょう
  2. 不安なことや気になることを整理してみましょう

医療者とよりよい関係を築く

  1. 自分の状況を隠さず伝えることも大切です
  2. 上手に質問する方法を身につけましょう
  3. 話をしっかり聞きましょう

自分らしさを大切にする

  1. 自分の希望や考えを率直に伝えましょう
  2. こころの健康にも目を向けましょう

アストラゼネカ発行「コミュニケーションの道しるべ」より

自分の記録をつける

毎回の受診内容などの記録や、次回受診時に確認したいこともノートなどに記入しておきましょう。

例:

自分の記録をつける

次の情報も参考にして下さい。

「がん情報サービス (http://ganjoho.jp/)」とは?

国立がん研究センターがん対策情報センター提供のウェブサイトです。各種がんの解説や用語集、がん診療連携拠点病院の検索など、がんにかかわる情報を総合的に探すことができます。

「相談支援センター」とは?

全国各地のがん診療連携拠点病院に設置されている、相談支援のための窓口です。専門のスタッフが、がんに関する情報の提供を行っているほか、患者さんやご家族の相談に対して個別に対応しています。「がん情報サービス」で、お近くのセンターの利用時間や予約の要・不要、連絡方法等の詳細を調べることができます。
かかりつけの病院でなくとも、どなたでも無料で利用できます。

「患者必携」とは?

がん患者さんにとって必要な情報を取りまとめた冊子で、がんと診断されたすべての方のよりよい療養生活をサポートするために、国のがん対策推進基本計画に基づき作成されました。「患者必携 がんになったら手にとるガイド」「わたしの療養手帳」「地域の療養情報」(一部の地域)で構成されています。
「患者必携」は、下記より閲覧・印刷・購入が可能です。

  • 「がん情報サービス」ウェブサイトで内容の閲覧、印刷(PDF をダウンロード)
  • 相談支援センターで閲覧
  • 書籍として、全国の書店で購入

『国立がん研究センター患者必携サポートセンター』

患者さんやそのご家族が抱える疑問・不安や悩みについて、電話にて無料で相談することができます。

電話番号:
0570−02−3410(通信料は発信者負担)
受付時間:
平日(土日祝日年末年始を除く)の10〜15時 (2017年10月31日現在)

この冊子では、医療者とのコミュニケーション時の質問例をご紹介しています。
質問したい内容は人それぞれ違いますし、どのくらい知りたいかも人によって違います。ここでご紹介するすべての質問を聞く必要はありません。質問を確認し、医療者とのコミュニケーション時に役立ててください。

病気を知るために

ご自身の病気について基本的な情報を集めることは、「知らないことによる不安」を回避することにつながります。どういうことが知りたいのか、どういう治療を受けたいのか、病気を理解するとともに自分の考えを整理し、納得して治療を受ける準備をしましょう。

がんの種類や進行度、特徴などは、ご自身の治療の流れや、治療法を決めるために必要な情報です。
逆に、痛みなどの症状の情報は、医療者が病気の状態などを探るきっかけになります。
病歴、家族歴なども伝えましょう。また、ご自身でも検査や診断についてよく理解し、記録しておくことが重要です。

短い時間に上手に医療者に症状を伝えるときのポイント

  1. いつから
  2. どこが(どのあたりが)
  3. どのように痛むのか
  4. 症状の頻度や持続時間
  5. 症状が強くなっているか
  6. どうすると症状が出るのか、どうすると出ない、あるいは楽なのか
例:
重い痛み、さし込むような痛み、長時間立っていると痛い、食後に痛い、横になると楽、
吐き気や腹痛、せきが出る、しびれがあるなど

病気に関するキーワード

気になるキーワードは下記の例を参考に、医療者に質問してみましょう

  • がんの種類・部位・性質
  • 検査内容
  • 病期・ステージ
  • 進行度(早期、進行期)
  • 病理検査で得られた結果
  • 再発・転移

『患者必携 がんになったら手にとるガイド』内コンテンツ:「がんと診断されたらまず行うこと」「がんの検査と診断のことを知る」「がんの病期のことを知る」「がんの再発や転移のことを知る」などもご参照ください。

医療者への質問例

*すべての質問を聞く必要はありません

  1. 診断名は何ですか。
  2. 病気は体のどこにあるのでしょうか。
  3. どのくらい進行しているのでしょうか。病期でいうとどれにあてはまりますか。(例:T期、U期、V期、W期)
  4. 診断にあたり、どのような検査が行われたのでしょうか。
  5. どのくらい深刻ですか。
  6. 今後、起こりうる症状はどのようなものでしょうか。
  7. もっと検査する必要はありますか。その検査で何がわかります。
  8. 再発・転移の可能性はどれくらいあるのでしょうか。家族ががんになるリスクは高くなるのでしょうか。
  9. 治る可能性はありますか。
  10. 何が原因でこの病気になったのでしょうか。

治療法をよく知るために

担当医の説明をよく聞き、それぞれの治療法のよい面・悪い面、治療前に準備しておくことなどを確認しましょう。わからない専門用語がある場合は、まず下記のようなウェブサイトをはじめとするインターネットや、関連書などで調べてみましょう。

がんの部位や種類によっては、「診療(治療)ガイドライン」が発行されています。診療(治療)ガイドラインとは、さまざまな病状について、適切な診療上の判断を行うことを手助けするものです。医療者はそれらを参考に、患者さん一人ひとりの全身状態や希望などを考慮したうえで、治療の選択肢を考えます。多くのガイドラインは医療者向けですが、最近では一般の方向けに解説された書籍やウェブサイトもあります。

治療に関する情報の収集などでわからないことがあれば、相談支援センターで相談してみましょう。

参考になるウェブサイト

病気に関するキーワード

気になるキーワードは下記の例を参考に、医療者に質問してみましょう

  • 治療の種類
  • 効果
  • 副作用
  • 副作用の対処法
  • 予想される合併症・後遺症
  • 予想される仕事・生活上の変化
  • 費用
  • スケジュール
  • 注意すること
  • 緩和ケア

『患者必携 がんになったら手にとるガイド』内コンテンツ:「治療法を考える」「手術のことを知る」「薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る」「放射線治療のことを知る」「緩和ケアについて理解する」「痛みを我慢しない」などもご参照ください。

医療者への質問例

*すべての質問を聞く必要はありません

  1. その治療はどのように行いますか(回数・頻度・期間・治療の種類・スケジュール・場所など)。
  2. その治療の目的は何ですか(がん細胞を取り去る・小さくするなど)。
  3. その治療はどのくらいの効果が出ますか。また、効果が出ているかはどのように判断しますか。
  4. 治療を始めてどのくらいで効果が出てきますか。
  5. その治療が効かなかった場合、ほかに選択肢はありますか。
  6. その治療に痛みなどはともないますか。また、痛みなどや副作用をやわらげる方法はありますか。
  7. その治療にあたって準備しておくことは何ですか。
  8. その治療中、日常生活で制約されることはありますか。
             をすることはできますか?(例:仕事、ゴルフ)
             を食べる・飲むことはできますか?(例:肉)
             に行くことはできますか?(例:買い物)
  9. 副作用はどのようなものがありますか。
  10. その副作用に対する治療・対処法はありますか。 
  11. その治療には費用はいくらぐらいかかりますか。

治療法を選ぶために

治療において何を優先するかは、一人ひとりの価値観、人生観、家族構成や社会的立場によっても異なります。
自分らしく病気と向き合うためにも、自分の考え、優先したいことを担当医に伝えることが重要です。治療の選択肢を提示するのは担当医の役割ですが、最終的に治療法を決めるのは、患者さんご自身です。
医療にも不確実なことや限界があることは事実ですが、ご自身の希望をふまえ、担当医や周囲と相談しながら納得のいく治療法を決めていきましょう。

たとえば新しく家を買うとき、最初に見た家を即座に買う人は多くないと思います。担当医以外の医師に意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用する* ことも、納得のいく治療を受けるためのひとつの方法です。人生の一大事の決断になります。
必要に応じ、医療者に相談してみましょう。

*
セカンドオピニオンが利用できる医療機関の情報は、相談支援センターなどで聞くことができます。
病気に関するキーワード

気になるキーワードは下記の例を参考に、医療者に質問してみましょう

  • 治療法
  • 標準治療
  • セカンドオピニオン
  • 自分自身の希望(仕事・家事を続けたい、妊娠・出産など)
  • 臨床試験
  • 現在受けている別の病気の治療・薬との関係

『患者必携 がんになったら手にとるガイド』内コンテンツ:「セカンドオピニオンを活用する」「臨床試験のことを知る」「補完代替療法を考える」などもご参照ください。

医療者への質問例

*すべての質問を聞く必要はありません

  1. どのような治療法がありますか(手術以外のものも含めて)。
  2. それぞれの治療を選んだ場合の、見込み(よいこと、悪いこと、最も起こりうること)を教えてください。
  3. それぞれの治療を選んだ場合、想定される副作用(短期・長期)や後遺症、合併症はなんでしょうか。
  4. 先生はどの治療法が最善だと考えますか。それはなぜですか。
  5. ほかの患者さんはこういう場合に、どのような治療法を選択していますか。
  6. 病気や治療によって、家族や仕事へどのような影響がありますか。
  7. セカンドオピニオンを受けることはできますか。
  8.        をすること、または優先することは可能でしょうか(例:○月に娘の結婚式に行くこと)。
  9. 治療法は、いつまでに決めなくてはなりませんか。
  10. 現在処方されている      を飲み続けてもいいですか。
    また、健康食品やサプリメントなどを続けてもいいですか。

治療中・治療後の生活について知るために

入院中や外来での治療を受けるとき、また経過観察中の生活で心がけることを知っておきましょう。
治療中や治療直後は、普段の動作がそれまでどおりにいかないことがあります。食事などの注意点を確認するとともに、吐き気などへの対策についても情報を集めておけば、つらい症状をやわらげることができます。また、かつらや化粧などが生活を送るうえで、心強いサポートになる場合もあります。相談できる窓口を担当医や看護師ら医療者に確認しておけば安心です。

専門の相談員が患者さんやご家族の不安な気持ちを支える「相談支援センター」のほか、患者会などで同じ経験を持つ患者さんの話を聞くことで、気持ちが軽くなったり、療養生活を快適に過ごすヒントが得られることもあります。
患者会やその他の支え合いの場に関する基本的な情報(連絡先や対象となるがんの種類、主な活動内容、年会費など)は、書籍や雑誌、インターネットで調べることができます。また、「相談支援センター」でも情報が得られる場合があります。

治療中・治療後の生活に関するキーワード

気になるキーワードは下記の例を参考に、医療者に質問してみましょう

  • 退院の時期
  • 日々の生活を送るうえで気をつけること
  • すぐに連絡したほうがよい症状、注意が必要な症状
  • 緊急時の連絡先
  • 地域連携
  • 在宅医療
  • 経済的なこと

『患者必携 がんになったら手にとるガイド』内コンテンツ:「相談支援センターにご相談ください」「社会とのつながりを保つ」「患者同士の支え合いの場を利用しよう」「療養生活を支える仕組みを知る」「治療にかかる費用について」「公的助成・支援の仕組みを活用する」「療養生活のためのヒント」などもご参照ください。

医療者への質問例

*すべての質問を聞く必要はありません

  1. 入院中の生活で心がけることを知りたいのですが(食事など)。
  2. 退院後の生活で心がけることを知りたいのですが(食事、運動、家事、性生活、出産など)。
  3. 日常生活で制約されることはありますか。
               をすることはできますか?(例:海外旅行)
               を食べる・飲むことはできますか?(例:お酒)
               に行くことはできますか?(例:温泉・サウナ)
  4. 今後どのような症状に気をつければよいのでしょうか。
    また、そのような症状が出た場合、どのように対処すればよいですか。
  5. 顔色や脱毛を目立たなくする化粧方法や、浮腫をやわらげるストッキング、かつらのことなどについて知りたいときはどこで相談すればよいですか。
  6. 私が住んでいる地域で治療を受けることはできますか。
  7. 今後、がん以外の持病の治療はどうすればよいでしょうか。
  8. 治療中(入院中、退院後の生活)の経済的な負担や介護のことが心配です。
    費用や経済的支援、介護支援について知りたいのですが。

病気とこころのこと

診断された後の患者さんから寄せられた、さまざまな不安や疑問の例をご紹介します。
病気と上手に向き合ううえでの、参考としてください。

病気についての心配事や悩みは誰に相談すればよいでしょうか。

病気や治療内容に関する心配事は、担当医や看護師にまず相談してみましょう。治療費に関することや家事援助サービスのご案内などについても、看護師など医療者に相談し適切な窓口を紹介してもらいましょう。
また、がん診療連携拠点病院には「相談支援センター」が設置されており、看護師やがん専門相談員としての研修を受けたスタッフが相談を受けています。がん経験者が相談にのる窓口を開設している病院もありますので、問い合わせてみましょう。

こころの相談は誰にすればよいですか。

病気を抱えると「病気なのだからつらくても仕方ない」「周りに迷惑をかけられない」と考え、一人で悩みがちです。そんなときは、一人で抱え込まずに信頼できる人や医療者に相談してみましょう。誰かに話を聴いてもらい、ストレスに対して一緒に取り組むことは、つらさの軽減に役立ちます。心のケアの専門家(精神腫瘍医、心理療法士など)がいる病院もありますので、医療者や相談支援センターのスタッフにたずねてみるのもよいでしょう。

気分が落ち込むとき、不安で眠れないときはどう対処すればよいでしょうか。

気分が落ち込んだり不安で眠れなくなったりすることは、多くの患者さんが経験されます。
病気は体だけではなくこころにも影響することがあるためです。一人で我慢せずに、担当医や看護師に相談してみましょう。

がんや治療によって、経済面や家庭生活などにおいて考えられる家族への影響はどのようなものがあるでしょうか。また、そのような心配事や悩みはどこで相談すればよいでしょうか。

一家の大黒柱である方ががんと診断されたなら、収入が減少する一方で治療費による支出が増加するなど、経済面で大きな変化が生じることがあります。家事や育児を担っている方ががんと診断されたなら、これまでごく普通に営まれてきた家庭生活の維持が難しくなります。
家族の一員ががんと診断されることは、ご家族の心身面のみならず、経済面や社会面で大きな影響を与えることがあります。ご家族はさまざまなストレスにさらされ負担を抱えながらも、そのつらさを周囲に訴えることを躊躇しがちです。「相談支援センター」では、患者さん本人による相談はもちろん、ご家族の方からのご相談も受けています。また、受診中の病院にも相談窓口があるかもしれません。まずは医療者に相談してみましょう。

今後、病気と上手につきあっていくにはどうしたらよいのでしょうか。

「こうしたらよい/こうしなければならない」という決まった方法はありません。前向きな気持ちになれるときもあれば、なれないときもあります。一人で頑張りすぎず、周り(家族、友人、医療者)に助けを求めることも必要です。多くの方は、病気になる前にも何らかのつらい状況を経験されたことがあるはずです。そんなときには、情報を集める、人に話をする、気分転換をするなど、それぞれの方法で取り組んでこられたと思います。今までのご自身の経験を振り返り、無理のない方法をその時々で選んでみてください。

皆さまの体験が誰かの生きる力になります

「自分らしくがんと向き合う皆さんの姿、想い」
「患者さんからご家族への想い」「ご家族から患者さんへの想い」

このようなテーマで皆さまからの
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