何を食べればいいのかわからない...そんなお悩みに!

がんになってから、食べるものに敏感になり
「何を食べればいいのかわからない」と悩んでしまう...
そんな毎日の“食”のお悩みにお答えします!

何を食べればいいのかわからないときは、
まずはバランスのよい食事を心がけて

何を食べればいいのかわからないときは、まずはバランスのよい食事を心がけて

インターネットや雑誌、本、テレビなど、世の中には多くの情報があります。病気に関する食の情報には、その食べ物が病気によい、わるいなど、ときに真逆のことが伝えられていることもあるため、「結局、何を食べたらいいのか?」と迷い、悩んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか?

一ついえることは、「これがいい」というものだけに偏るような食生活は避けたいということ。

手術や放射線療法、抗がん剤治療(化学療法)などの治療を乗り切り、身体を回復させるためには体力がカギになります。体重や筋肉量を減らさない(=やせない)ように、いろいろな食品をバランスよく食べましょう。

食事のお悩みの中には、「乳製品は控えたほうがいいの?」「ジューサーで絞った野菜ジュースを飲むべきですか?」という不安や疑問もあるかと思いますが、病状を悪化させる食べ物や、積極的に摂取したほうがよいものというのは特にありません。抗がん剤治療中に「大好物のお寿司は生魚だからダメなんだ・・・」と、食事を制限して気分まで小さくなってしまう方もいますが、新鮮なものならお寿司だってOK!

担当医から食事の指示があった場合は別ですが、特別なことは必要なく、食生活も気にし過ぎず今までどおりで大丈夫です。

食べたいものがわからないときは、身体の調子に合わせて食べ方を工夫してみましょう

食べたいものがわからないときは、身体の調子に合わせて食べ方を工夫してみましょう

とはいえ、治療中は今まで好きだったものがおいしく感じられなかったり、食欲が湧かなかったりするときも……。治療のタイミングによって食欲にも波が出ます。ここでは、そのときそのときにあった食事の例をご紹介します。

  • 食欲があるとき

    バランスを考えながらしっかり栄養を摂りましょう。食べられるときは、果物やヨーグルトなどを間食する、ご飯をチャーハンやチキンライスにして油を使う、ご飯を混ぜご飯や雑炊にするなども、できそうなら試してみてください。体調が悪くなければ、少し歩いてみるといった適度な運動に意識的に取り組んでみてもよいでしょう。運動は、抗がん剤治療中のだるさを楽にしてくれるという研究結果1)が報告されています。

  • 食べたいものがない、食欲がないとき

    無理はせず、食べられるものを食べやすい形で食べれば大丈夫。食欲をそそるように盛り付けを工夫してみるのもよいでしょう。てまり寿司のような一口サイズの料理であれば「これくらいなら食べられるかも」という気持ちになるかもしれません。

    がんの治療中は口内炎に悩まされる方も多いので、水分が多くやわらかい、口当たりのよいものや、食べられそうなものを買い置きしておいてそのとき食べたいと思ったものを口にしましょう。アイスクリームなどでつらい時期をしのぐという方もいらっしゃいます。また、一度にたくさん食べられないときは、ドラッグストアや薬局などで売っているゼリー飲料やドリンクなどの栄養補助食品を活用するという方法もあります。これらは少しの量でカロリーやたんぱく質が摂れるメリットがあるので、自分の好みに合ったものを探してみましょう。食事をする時間にはこだわらず、食べられるときにサッとつまめるものがあるとよいと思います。

治療を乗り切る買い出し&料理の工夫

治療を乗り切る買い出し&料理の工夫

これまで触れてきた食事のお悩みはもちろん、「料理がしたいのに、どうしてもつくる気が起きない」という、つくるお悩みがある方もいらっしゃるかと思います。そんなときに役立つ、お買い物と料理の工夫をご紹介します。

  • お買い物の工夫

    重い買い物袋を持って家とスーパーを往復するのは、想像しただけでおっくう…。そんなときは、切り干し大根やひじきなどの乾物をうまく取り入れて、買い物袋そのものを軽くする工夫をしてはいかがでしょう。乾物は栄養も豊富なので、これまで馴染みのなかった方は、ぜひ取り入れてみてください。

    すぐに料理ができる缶詰や加工食品を利用したり、冷凍のカット野菜を常備したりするのもおすすめです。また、食欲がないときに食べられたものを買い置きしておくと安心でしょう。

  • 料理の工夫

    料理をする上で、意外と手間がかかるのが下ごしらえ。下ごしらえを簡単にすると料理の負担を軽減できます。

    たとえば野菜なら、そのまま・またはちぎって使えるキノコ、もやし、キャベツを使えば下ごしらえもラクチンです。大根や人参、ごぼうなどの根菜類は、表面をよく洗えば皮をむかなくても料理に使えます。肉類はひき肉や細切れ肉などを選べば、切る手間と共にまな板を洗う手間も省けます。

    包丁ではなくキッチンばさみで切ったり、やわらかいものは麺棒で叩いたり、キッチンツールを活用するのもいいですね。

    そして、ときには家族やパートナーなど、周りに助けてもらうことも大切です。食事は毎日続くもの。自分ひとりで抱え込まずに、周囲と協力しながら治療期間を乗り切りましょう。

何を食べればいいのかわからない…そんなお悩みに!

切り干し大根の卵焼き

切り干し大根の卵焼き

栄養士コメント

栄養価の高い卵に、ミネラル豊富な切り干し大根を組み合わせた風味豊かで食感がよい卵焼き。ツナの代わりに干しえびでも美味。

栄養価(1人分)

エネルギー 163 kcal
食塩相当量 0.7 g
たんぱく質 9.3 g
脂質 11.9 g
炭水化物 5.7 g
糖質 4.1 g
食物繊維 1.6 g
水溶性食物繊維 0.4 g
不溶性食物繊維 1.2 g
カリウム 350 mg
カルシウム 58 mg
マグネシウム 21 mg
リン 128 mg
1.2 mg
亜鉛 0.8 mg
ヨウ素 18 µg
コレステロール 189 mg
ビタミンB1 0.07 mg
ビタミンB2 0.22 mg
ビタミンC 7 mg
ビタミンB6 0.12 mg
ビタミンB12 0.7 µg
葉酸 53 µg
ビタミンA 123 µg
ビタミンD 2.2 µg
ビタミンK 21 µg
ビタミンE 1.2 mg
飽和脂肪酸 2.59 g
一価不飽和脂肪酸 4.27 g
多価不飽和脂肪酸 3.90 g

材料(2人分)

使用量

卵(Mサイズ) 2個
切り干し大根 10 g
A ツナ缶(油漬け、汁けをきる) 小1/2缶(約25 g)
A 長ねぎ(小口切り) 10cm分(約20 g)
A しょうゆ 小さじ1(6 g)
A こしょう 少々
ごま油 小さじ2(8 g)
サニーレタス(あれば) 1枚(約10 g)
ミニトマト(あれば) 2個(20 g)

手順

  1. 切り干し大根は水で洗い(水戻しは不要)、包丁かキッチンばさみで2~3cmに切ります。
  2. ボウルに卵を溶きほぐし、Aを加えて混ぜます。
  3. フライパンにごま油を熱して、①の切り干し大根を中火でさっと炒めます。軽く火が通ったところで②の卵液を流し入れます。
  4. 菜箸で大きく混ぜ、縁の部分が少し固まってきたら、蓋をして弱火で2~3分焼きます。裏返して卵に火が通るまで焼きます。
  5. 取り出して切り分けます。器に盛り、サニーレタス、プチトマト(あれば)を添えて出来上がりです。
  • 作りやすい分量は2人分からです。

ジンジャーきな粉甘酒

ジンジャーきな粉甘酒

栄養士コメント

発酵食品の甘酒にきな粉をプラス。きな粉は食物繊維やオリゴ糖といった腸内環境を整える栄養も。やさしい甘さに癒されます。

栄養価(1人分)

エネルギー 146 kcal
食塩相当量 0.2 g
たんぱく質 5.1 g
脂質 2.0 g
炭水化物 29.5 g
糖質 27.6 g
食物繊維 1.9 g
水溶性食物繊維 0.3 g
不溶性食物繊維 1.6 g
カリウム 165 mg
カルシウム 18 mg
マグネシウム 26 mg
リン 78 mg
0.7 mg
亜鉛 0.7 mg
ヨウ素 0 µg
コレステロール 0 mg
ビタミンB1 0.02 mg
ビタミンB2 0.06 mg
ビタミンC 0 mg
ビタミンB6 0.07 mg
ビタミンB12 0.0 µg
葉酸 28 µg
ビタミンA 0 µg
ビタミンD 0.0 µg
ビタミンK 2 µg
ビタミンE 0.1 mg
飽和脂肪酸 0.25 g
一価不飽和脂肪酸 0.42 g
多価不飽和脂肪酸 0.99 g

材料(2人分)

使用量

甘酒 300 ml
きな粉 大さじ2(約14 g)
しょうが
(すりおろし・お好みで)
チューブで4cm(約2 g)

手順

カップに甘酒を入れ、きな粉を入れます。お好みの量のすりおろししょうがを入れ、よくかき混ぜてからいただきます。

甘酒を温めてから作っても美味しくいただけます。

  1. Mustian KM, et al.: JAMA Oncol. 2017; 3(7): 961-968.

よくある質問

  • 何を食べればいいのかわからないときは、まずはバランスのよい食事を心がけましょう。手術や放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)などを乗り切り、身体を回復させるためには体力がカギになります。体重や筋肉量を減らさない(=やせない)ように、いろいろな食品をバランスよく食べましょう。主治医から食事の指示があった場合は別ですが、特別なことは必要なく、食生活も気にしすぎず今までどおりで大丈夫です。

  • 「これがいい」というものだけに偏るような食生活は避けたほうがよいでしょう。手術や放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)などを乗り切り、身体を回復させるためには体力がカギになります。体重や筋肉量を減らさない(=やせない)ように、いろいろな食品をバランスよく食べましょう。栄養不足を防ぐために、医師や栄養士に相談し、個別の栄養プランを立てるのも一つの方法です。

  • 病状を悪化させる食べ物や、積極的に摂取したほうがよいものというのは特にありません。主治医から食事の指示があった場合は別ですが、特別なことは必要なく、食生活も気にしすぎず今までどおりで大丈夫です。治療中は今まで好きだったものがおいしく感じられなかったり、食欲が湧かなかったりするときもあるかと思います。身体の調子に合わせて食べ方を工夫してみましょう。