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私からのメッセージ

円藤弘子さん
「プラス思考・楽しむ食事のすゝめ」

食事は栄養摂取と同時に体調の信号

―― 病気は一般的に、食事と関連が深いと言われていますが、がんと食事について、お考えになっていることはありますか。

円藤弘子さん

 大いにあります。一般論として、健康と食事に密接な関係があるということは疑う余地のない常識です。よく子供が食べることを拒んだり、乳児が乳を吐いたりするのは、内臓が疲れているという信号を発しているのだと考えるのが適切でしょう。食事は単に健康を維持するための栄養摂取という視点のみならず、ときには体の危険信号まで私たちに与えてくれる点でも大きな意味を持っております。

 がんと食事に深い関係があることも勿論です。医療機関による積極的ながん治療を経て、身体機能の建て直しが必要な回復期には、バランスのとれた栄養を摂ることが最も大切です。このことは普通人の日常についても言え、予防、予後の両面から見て、食事の大切さはいくら強調しても強調し過ぎということはありません。私は、この分野で職業人生を送ったプロの端しくれですが、自身の闘病を振り返ってみても、食べることに意を注いだことは正しかった、と改めて確信を深めています。私たちは友達がなくても、本がなくても生きてゆけますが、食事なしには不可能だということを考えれば、病気の時こそ一層食事のあり方が問われるのは当然と言えましょうね。

がん防止12ヶ条のトップは「バランスのとれた栄養」

――指針というものはあるのですか。

 1997年に米国がん研究財団(AICR)は、食事とがんに関する4500を超える研究結果から、世界に向けての勧告「がん予防14ヶ条とタバコ」を発信しました。それはわが国の国立がんセンター発「がんを防ぐための12ヶ条」(国立がんセンター/がん対策情報センター/がん情報サービス)にも共通項目として明記されています。

実践と継続こそ大切

――指針というものはあるのですか。

 食べたり、飲んだりする以外のことも含まれています。いずれも常識的なことで、改めて強調するほどのこともないとのご意見もありましょうが、軽視はできません。実践しなければ意味がありませんが、それがなかなかむずかしく、しかも継続しなければダメとあって、むずかしさが倍加するからです。

 日米の信頼できる指針から、がん回復期に必要なこととして、私は次の7点を皆さまに奨めています。

  • (1)未精白の穀物を主食にした食事
  • (2)野菜と果物を多く
  • (3)健康的な体重の維持
  • (4)アルコールは控えめ
  • (5)魚以外の動物性脂肪と塩分の低い料理
  • (6)加工食品から遠ざかり手づくり料理を
  • (7)タバコはすわない

円藤式「摂取すべき食物群」

――日米の指針や円藤さんの考えに基づき、がん回復期に摂取すべき食物を選ぶと、どういうライン・アップになるのでしょう。

 国立がんセンター指針のトップにある「バランスのとれた栄養を」は、食事の憲法とも言うべきもので、最も基本的な要件です。バランスよく食べる目安として、私は次のように一日6群の食物からまんべんなく摂取するよう雑誌に書いたり、講演で話したりしてきました。

食事はおいしく、楽しくがモットー

―― 円藤さんご自身が再発予防の食事として実践されていることを教えてください。

 国立がんセンター12ヶ条などを前提としたうえで、私は「食事はおいしく、楽しく」をモットーとしております。知り合いなどに厳しい食事制限をしている方もいますが、私は、食事は生きていくために必要であると同時に「楽しむもの」であると考え、いつもそのように話しています。免疫力を高めることが、がん予防につながることはと考えられているようですから、「食べる」喜びを味わい、ストレスを緩和したり、解消することで免疫力を向上させることができれば、こんないいことはありませんね。

 勿論、術後間もない時期など、食事内容や量をかなり制限しなくてはならないこともありますが、少しずつ改善され、食べる楽しみに変えていくことができれば、それもがん再発予防の一歩になるのではないかと考えています。

―― 術後の回復期にできる食事の工夫について教えてください。

 多少重複するかもしれませんが、術後回復期の家族にできる食事についての工夫や、必要な気遣いといった点につき、私の考えていることを紹介します。

(1) 野菜・果物をたっぷりと摂る。ゆでる、煮る、汁物で、生で、ジュ−スでと。緑黄色野菜はもちろん、淡色野菜を摂るように。わさび、にんにく、ラッキョウ、それにハーブ類も。新鮮さと露地栽培物を第一選択にしましょう。

(2) 米を1日2回以上主食に。胃腸が丈夫なら玄米、5分搗き。胚芽米に好みで米粒麦を1割以上加えると含水がよく、家庭の炊飯ジャーでもおいしく食べられます。

(3) 加工食品から離れましょう。とくに、ファーストフードやインスタント食品はできるだけ摂らず、家庭料理のおいしさを追求しましょう。くれぐれも、時間経過した揚げ物や炒め物は摂らないように。おなじ料理や弁当を続けて食べずに、1食1食を大切に。

 ちまたに流布されている教義や流儀、それに特殊な加工を施した特別に効果をうたった食品を講習会などで紹介されてはまりこむのは得策とは思いません。 2003年の米国対がん協会の調査結果にある「がん生存者の食事と予後」のデータによると、至極まっとうな野菜と果物を積極的に摂取する価値があるとしているようです。また揚げ物、炒めものの無神経な食べ方を奨励する例もありますが、低脂肪食が良いということは科学的根拠が十分にあるようです。

 また、玄米食は食物繊維、微量の栄養素の補給に、それに肥満気味の場合は適正体重の維持に有効です。いわゆる健康食品の効能も論じられますが、「健康食品」として、がんに対する効能が認められた保健機能食品は、今のところ存在しない、という説もあります。

―― 現在はどういう活動をなさっているのですか。

 いまは宇都宮市内の目抜き通りにある献血ルームで栄養指導を毎月一回、土曜日の2時から5時まで行っています。それはボランティアです。他に栄養ケアステーションに籍だけ置いておりますが、おかげで病気から回復し、時間もありますので、これからは自分でないとできないことをやっていきたいと思っています。

―― 70歳まで立派に生きられましたね。

最近の旅行での一コマ

 一回、がんを患った者は、再発・転移の不安があります。それに60歳以上、特に65歳をすぎると加齢リスクがあると言われますので、日頃は、太極拳やテニスをしたいりと体を動かし、ストレスを溜めないよう心がけ、好きな旅行を海外、国内問わずしています。 病気が見つかって、一時的にわっと嘆くのも気持ちの整理に役立つかもしれません。大泣きするのも良いかもしれませんね。しかし、いつまでもその状況を続けるのは、がん細胞を喜ばせるだけではないかと思います。何回も繰り返すようですが、体を動かせば良く眠れます。バランスの良い食事を楽しく、おいしくいただくことは回復期にはとりわけ大切だと考えます。

――円藤さん、ありがとうございました。

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