がんになっても -がんの治療を、その人「らしい」生活のなかで。-

アストラゼネカ

文字サイズ

乳がん・前立腺がん・肺がんを中心に患者さん・ご家族の体験談、高額療養費制度などの情報を紹介

私からのメッセージ

垣添忠生さん
「医師として、がん体験者として、そして妻をがんで亡くした夫として」

患者さんが希望をもつことは医療者の励みとなる

――がん医療をよくするために、医療者が行えることありますか。

垣添忠生さん

 医療者はそれぞれの立場で、自分の役回りを意識して尽力し、そして患者さんやご家族とのコミュニケーションの取り方に気をつけてほしいです。特に告知の際、進行・再発の患者さんと接するときには相手の立場になって接してほしいです。

 たとえば、検査でデータがよくなったことや、つらい治療をがんばられたことをほめると、それが患者さんにとって励みや希望につながると思います。患者さんが希望をもつことは、医療者にとっても励みとなります。医療者は、患者さんの希望につながるような接し方を考え続けてほしいですね。

患者さんやご家族の声が医療を変える

――「がん対策基本法」は患者さんの声によってできたと言われていますが、どのような背景があったのでしょうか。

 2007年に施行された「がん対策基本法」ができたのは、患者さんらの声が強くなり、政治がそれを受けたからです。それまで政治家に我々医療者がいくら必要だと声を上げても全然立法など考慮されなかったのですから。そしてこの法律によって、患者さんやご家族の意見が、がん対策に届くようになったということが重要です。

 今、全国のがん医療の地域格差、施設格差をなくすことをめざして、各地にがん診療連携拠点病院が指定されています。しかし、まだ形ができたばかりです。人材の育成などには10年ほどかかります。これから中身を充実させていく必要があると思っています。

 患者さんやご家族は、これからも声を上げ続けてほしいですね。もちろん全部の要望が実現するわけではありませんが、どういったことが今のがん医療に不足しているのか、医療者や行政、政治家が知るためにはその声が必要です。

がんになっても普通の生活を送ることのできる社会に

――一方、患者さん自身が病気と向きあうにはどうすればよいか。この点についてのお考えを教えてください。

垣添忠生さん

 患者さんは一人ひとり、違います。そういう意味で、共通の病気との向きあい方なんてないと言ってもよいかもしれません。ですから一人ひとりの向きあい方をしっかり家族や担当医と話しあっておく必要があります。化学療法や放射線療法などの治療を試みても効果が上がらない場合、積極的な治療から、残された時間をより豊かに生きるための緩和ケアに切り替えることもひとつの手段です。

 今は、早い段階から緩和ケアをするようになりつつあります。WHOも早期の段階から緩和ケアを行うように勧告しています。実際、がん患者さんの全体の3割ぐらいは、診断されたときに痛みなどの症状をもっているというデータもあります。治療を進めながら、医師も患者さんもそういう緩和ケアについて、頭のどこかに置いておくことも必要ではないかと思います。

 さらに社会では、患者さんが職場で差別を受けたりすることのないような取り組みも重要です。この病気への社会的な理解を進めることで、がんになってもあたりまえの生活ができ、希望をもってよりよく病気と向きあえる社会をつくっていけたらと思います。

 そして、在宅ケアをもっともっと充実させたいですね。今、地域によっては在宅ケアを支援する熱心な医師や看護師が活躍しています。でも日本全体からみるとまだまだ少ない。方向性はそういう形に間違いなく進んでいるので、そこを充実させるにはどうしたらよいか、私ができることを考えていきたいです。

――どんな抱負をもっていらっしゃいますか。

 まず、早期発見によって亡くなる方が減るように、検診の受診率をもっともっと上げるべくアピールしていきたいです。受診の効果が上がると思われる50%まではまだまだ遠い道のりですが、どうにかがんばりたいです。全国各地へ出向いて訴えると、みなさんよくわかってくださいますから。また、たばこ対策を中心とした、がん予防も課題ですね。

 一方で、妻を亡くした経験を生かしたいです。配偶者を亡くす方が毎年20万人います。遺された家族の喪失感や悲嘆についての研究が必要です。どういう時期に、どんな悲しみが生ずるのか。肉体と精神は直結しているから、肉体的にもいろんな反応が起きます。それが研究でだいぶわかってきています。たまたま私は援助を求めなかったけど、援助を必要とする人も数多くいます。いわゆる遺された家族へのサポート、グリーフケアが社会的に定着するように、一翼を担っていきたいと思っています。

 この病気は誰にでもなり得るという現実がある中で、がんになっても、あたりまえの生活ができる社会になるよう、これからも医療の一層の充実に貢献していきたいです。

皆さまの体験が誰かの生きる力になります

「自分らしくがんと向き合う皆さんの姿、想い」
「患者さんからご家族への想い」「ご家族から患者さんへの想い」

このようなテーマで皆さまからの
体験談を募集しています詳しくはこちら