がんになっても -がんの治療を、その人「らしい」生活のなかで。-

アストラゼネカ

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乳がん・前立腺がん・肺がんを中心に患者さん・ご家族の体験談、高額療養費制度などの情報を紹介

私からのメッセージ

青木 美保さん
「自ら参加する医療〜乳がんサバイバーである看護師の体験から」

再発の不安との折りあいをつける

――自ら選択し、納得のいく治療を受けられたとしても、再発の不安は別なのではないでしょうか。青木さんご自身は、どのように乗り越えたのですか。

青木美保さん

 自分では不安に思っていることに気づきませんでした。きっと、そういう不安に囚われるのが嫌で意識的に避けていたのでしょう。ある日、友人に「不安はないの?」と聞かれ、いつも再発について悩んでいたことに気づきました。やっぱり不安はある。それは消しようがない。だったらそれを認めて、どうすれば軽減できるか、自分のことをじっくり振り返ってみました。私の場合は、講演や勉強会に呼ばれたり、患者さんからの相談を受けたりする乳がんのサバイバー(がんとともに生き、さらには自分らしく生きるという意味がこめられています)として、ほかの乳がんの患者さんのサポート活動をしているとき、完全に不安を忘れて没頭しており、逆に自分自身が助けられていることに気づきました。完全に乗り越えることはできないまでも、このような気づきがあれば、楽になるかもしれません。

患者さんへのサポート活動が私の励みとなる

――米国視察の帰国後にウィメンズ・キャンサー・ファイター・サポート(ウィ・キャン・ファイト)というボランティア団体を設立されました。どういった活動をしているのですか。

 リリーさんの本を訳して日本の患者さんに伝えることが最初の役目でした。活動はずっと私一人でやっていますので、できることは自ずと限られていますが、今では乳がんの患者会から呼ばれての講演、保健師の勉強会、看護系の大学院の学生や高校で学ぶ生徒への講義など、少しずつ広がってきました。また、知りあいから、あるいは私が呼ばれた講演会経由で患者さんから相談があれば、時間の許す範囲で、無料で個別相談を受けるようにしています。電話やメールが中心ですが、必要なら直接会うこともあります。

 自分の経験が他の方の役に立つということは、私自身の励みにもなっています。

 ゆくゆくはリリーさんたちの活動のように、サバイバーと新しい患者さんを結びつけることもやってみたいのですが、どこで行うか、資金をどう工面するかをはじめ、難しい問題が山積しています。

患者さんが治療に向きあえる手助けを

――ご自身の罹患体験、あるいはこれまでの活動から、医療者の方に患者さんと接するときにお願いしたいことがあれば教えてください。

 病状説明のあとや、治療を開始して早々の頃、患者さんはよく同じ質問をします。これは、平静ではない状態で説明を聴いているから覚えていないんですね。面倒だと思わず答えてほしいです。それから、患者さんと視線をあわせて話をしてほしい。できれば患者さんの気持ちがほぐれるように声をかけていただきたいです。私自身、外来で診療や化学療法を受けていたとき、待ち時間が長く、孤独な気持ちになりがちでした。そんなとき、医師や看護師が声をかけてくれたときは嬉しかった。担当の医師が外国の学会へ行って、ゲテモノが食事に出てきた冗談話なんかを看護師と一緒に笑いころげて聞き、短い時間ではあってもつらい治療を忘れることができました。そういった話がありがたいのは、医師や看護師の人間性が感じられるからで、それを通じて「がんばって!」というメッセージ、人としての温かさを感じることができ、励まされるのだと思います。

 自分が医療者の一人でもあるので自戒をこめて言うのですが、患者さんが治療に上手に向きあえるよう手助けすることは医療者の大事な仕事だと思います。

自身の経験を医療に生かしたい

――今後の活動予定、抱負を教えてください。

再発・転移性乳がんを生きるための100の質問

 リリーさんの別の本の翻訳に取り組んでいます。現在出版されている『生きるための乳がん』(三一書房)は主にがんと診断された方向けの本でしたが、今度は同じくリリーさんの著書で再発・転移性乳がんの方を対象にした本です。前作と同じく、サバイバーの知恵がたくさん書かれています。2011年2月に『再発・転移性乳がんを生きるための100の質問』(彩流社)を出版します。

 また今春から、遺伝カウンセラー*の資格取得をめざして大学院に通っています。遺伝カウンセリング学は、遺伝情報を扱う医療専門職のひとつで、日本では2005年に発足した学会認定資格ですが、まだほとんど知られていません。これまで、小児疾患や筋神経疾患などの分野が中心でしたが、最近は乳がんなどに広がっています。その診断や治療はデリケートな問題を含んでいるので、専門的なカウンセリングが役に立つとされています。将来は、できればこんな仕事もしたいと思っています。

*遺伝カウンセラー
遺伝医療を必要とする患者さんやご家族に、適切なカウンセリングと遺伝情報や社会の支援体制についての情報提供など、医療面や心理・社会的サポートを通して、自律的な意思決定を支援する専門職

皆さまの体験が誰かの生きる力になります

「自分らしくがんと向き合う皆さんの姿、想い」
「患者さんからご家族への想い」「ご家族から患者さんへの想い」

このようなテーマで皆さまからの
体験談を募集しています詳しくはこちら