悪性リンパ腫の体験談
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体験談 - 患者
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悪性リンパ腫 57歳 男性
悪性リンパ腫との告知を受けて、はや2年7か月が経過します。薬物化学療法により一度は寛解したものの、再発、再度の薬物化学療法によるサルベージ療法を経て、昨年秋には骨髄バンクを介してドナーさんが得られたことからミニ移植による骨髄移植術を施行、移植後約10か月余が経過しました。術後の経過は概ね順調に推移し、4か月後には職場復帰することも出来、本当に有り難く思っているところであります。
ただ、この骨髄移植術の施行までには一旦確定したドナーさんが、自分が移植術の施行のために無菌室へ入院する予定となっていた日の僅か10日前に突然キャンセルされるとういう信じられないような衝撃的な出来事も発生しました。ショック、ショック、大ショック!です。
キャンセルされたことを知ったのは、入院前のトータルメデカルチェックがほぼ終わりに差し掛かった入院前最後の外来受診時、いつもと違って大変厳しい表情をされた主治医から告げられました。そのときの自分は「あぁ、これで命の綱が切れてしまったかぁ」という諦めにも似た何とも言いようのない気持ちとなったことを今でも忘れることはできません。
なぜなら、ドナー制度はドナー登録されている方の白血球の抗原型が自分と6座又は5座一致していることが必要ですし、仮にそのような方がドナー登録されていたとしてもドナーさんとして骨髄提供することについて健康上の問題が無く、その方のご家族を含めて同意していただくことが大前提となっていることから、移植術を受けることを希望しながらこのようなドナーさんが得られずに不本意ながら断念せざるを得ない患者も少なくない現状にあるからです。しかも、自分が努力して何とかなるものではなく、適合したドナーさんが得られるのを他力本願で待ち続けるしかないのです。
幸い、その後の骨髄バンクのスタッフの皆様方の精力的な活動のお蔭で、自分の場合はキャンセルから約1か月半後には新たなドナーさんから再び最終同意が得られるところとなりましたが、この間ストレスが溜まり、悶々とした毎日の連続。精神衛生上はもちろんのこと疾患そのものにも決して良いとは言えない日々を過ごしていました。自暴自棄になり、何度か諦めそうになったこともありました。 でも、自暴自棄になったままでなくて良かった、諦めずに本当に良かったです。
というのは、再度得られたドナーさんは血清型でも遺伝子型でも完全フルマッチの本当に理想的な方だったのです。キャンセルされた方との適合状態については今さらのことですので、主治医にも確認してませんし、今後も確認しようとも思ってはいません。
もし、あの時、諦めていたならば今の自分はきっとこの世には存在していなかったことでしょう!悪性リンパ腫には絶対に負けたくない!絶対に完治するのだ!との気持ちが弱気になりそうな自分を支えてくれたものと思います。そのような自分に対して自分で褒めてやりたいと思います。まさにネバーギブアップです。
悪性リンパ腫との闘いはとかく長くなりがちなもの、時には弱気になったり、負けそうになることも少なくありません。でも、根負けしたら絶対に駄目です。諦めたら絶対に駄目です。
そのようなときには、自分の場合がそうであったように、例えばNPO法人の悪性リンパ腫患者・家族会「グループ・ネクサス」の全国にいる多くの会員など、多くのリンパ腫仲間からも沢山の元気と勇気と気力とパワーを貰いながら完治を信じ、希望を持って明るく、前向きに立ち向かって行くことが重要だと実感しているところです。
ドナーさんやそのご家族の善意と多くの方からの心温まるご支援のお蔭で折角授かった第2の命、粗末にしたら罰が当たります。今後も、皆様方から受けたご恩をしっかりと胸に刻み、感謝とお礼の気持ちをいつも忘れずに、長生き出来るよう大事にして行きたいと考えています。
同時に、骨髄バンクやドナー制度があったから今の自分は存在するもの、現在、バンクではドナー登録者を25万人から30万人に拡充するために精力的に各種の活動に取り組んでいると承知しているところです。微力ながら自分も何かのお手伝いが出来ればこの上も無い喜びと考えているところです。
勇気づけられた言葉、場面
悪性リンパ腫との告知を受けたときに主治医から言われた「悪性リンパ腫は血液のがんですが、今や決して不治の病ではありません!完治を目指して一緒に頑張って行きましょう!」との一言により救われた思いがしたものです。なぜなら、そのときは血液がんと聞いて大きな衝撃と絶望感で頭の中はいっぱいになっていたからです。この一言が自分のその後の闘病姿勢や意欲をしっかりと形成づけてくれました。主治医に対し感謝の気持ちでいっぱいです。
また、移植術を選択することに決めたときには主治医から治療関連死の可能性が約40%と高率になっているとのインフォームド・コンセントがなされた後、「未知なる世界のため不安はあるけれども、移植することについての迷いは一切ありません。」と話した自分に対して主治医からこれに答えて言われた「厳しい療法ではありますが、病院側としても最善を尽くすので、一緒に頑張って行きましょう!」との一言によって大いに勇気付けられたものです。このようなドクターの言葉が患者の闘病意欲を高めてくれるのですね。