傷病手当金

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【活用タイミング】
がんの治療〜

病気やケガによる休職中の給与減少を補う

働いている方が病気やケガで仕事を休み給与の支払いを十分に受けられない場合に、公的な医療保険から給与額のおよそ3分の2の日額の傷病手当金が支給されます。国民健康保険後期高齢者医療制度(長寿医療制度)にはない休業給付です。
※制度が異なりますが、一部の国民健康保険組合(国保組合)に傷病手当金と同様の給付があります。

社労士 清水公一さんの “ここがポイント”

令和3年8月現在、支給期間は支給開始から通常1年6ヵ月までの期間ですが、1年6ヵ月の日数分が支給されるのではなく、この間に十分な給与支払いがあった期間は支給されません。そのため、給与支払いを受けられる日が多い状況で支給開始してしまうと、あまり傷病手当金を利用できないうちに1年6ヵ月の支給期間が終了してしまうこともあります(図1)。一方、共済組合の場合、支給期間は通算1年6ヵ月となっており、出勤した期間は含まれません(図2)。がん患者さんの就労と治療の両立など療養のあり方が大きく変わるなか近年、このような共済組合型へのニーズが高まっていました。そうした背景から令和3年国会で健康保険法等の改正が行われ、令和4年1月より組合健保や協会けんぽでも支給期間が通算化されます(図2)。
がんは再発して再び休職が必要となる可能性のある病気です。最初の手術後にすぐ復帰できる見込みがある場合、あるいは手術後の化学療法で長期間の休職が見込まれる場合などは、残っている有給休暇を先に使うとよいでしょう。患者さんによって状況は異なりますので、ご自身の病状をふまえて傷病手当金の活用タイミングを判断されるとよいと思います。
なお、傷病手当金は事後請求であり、支給を受ける権利は2年間でなくなってしまいます(就労できず、支給を受けたい日の翌日から2年以内に申請する必要があります)。申請には給与支払いの有無について事業主の証明が必要になります(資格喪失後の継続給付は事業主の証明は必要ありません)。給与の代わりとなるものなので、1ヵ月(長くても3ヵ月位)ごとに申請するようにしましょう。

傷病手当金は一定の条件を満たすことにより、退職後も支給開始日から1年6ヵ月以内(令和4年1月からは支給期間が1年6ヵ月以内)であれば残りの期間が支給されます。退職後の継続給付を受ける際、任意継続被保険者である必要はありません。
ある一定の条件とは次のとおりです。

@
退職日までに1年以上継続して被保険者であること
A
退職日に傷病手当金を受給しているか、受給できる状態であること
B
退職後も引き続き同じ病気療養のため労務不能の状態であること(医師の診断書が必要)
C
退職日に仕事を休んでいること

注意点はCです。退職日に出勤してしまうと、労務不能と認められず、ABの条件を満たさなくなり、傷病手当金の継続給付が支給されません。お世話になった人への挨拶まわりなどをすることもあると思いますが、退職日を出勤日扱いにしないようにしてください。

図1 健康保険における傷病手当金の支給期間

支給開始から1年6ヵ月を超えない期間まで支給(1年6ヵ月後に同じ疾病が生じた場合は不支給)

図1 健康保険における傷病手当金の支給期間
※例えば、がん治療について、手術等により一定の期間入院した後、薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療として、働きながら、定期的に通院治療が行われることがある。

図2 共済組合における傷病手当金の支給期間(令和4年1月より組合健保や協会けんぽでも適用)

支給期間を通算して1年6ヵ月の期間まで支給(延長される期限の限度はない)

図2 共済組合における傷病手当金の支給期間(令和4年1月より組合健保や協会けんぽでも適用)

参考:厚生労働省第135回社会保障審議会医療保険部会 資料4 傷病手当金について