子宮がんには子宮下部の筒状の子宮頸部に発生する「子宮頸がん」と上部の袋状の子宮体部に発生する「子宮体がん」があります。子宮頸がんは発見しやすく、比較的治療が容易ながんです。がんになる前の「異形成」と呼ばれる状態では無症状ですが、進行してがんになると出血やおりものが多くなります。さらに進むと下腹部に痛みを感じたり、尿や便に血が混じったりします。1年間に10万人あたり16.5人が子宮頸がんと診断され、20歳代後半から40歳代にかけて患者数が増えていきます。発生要因の多くはヒトパピローマウイルスの感染です。治療法には手術、放射線治療、薬物療法があり、進行度や状態から選択され、複数の治療法を組み合わせる場合もあります。
子宮体がんは子宮内膜に発生するがんで、子宮内膜がんとも呼ばれます。症状は出血が最も多く、その他には排尿時や性交時の痛み、下腹部の痛みなどがあります。進行すると腹部の膨満感が出てくることもあります。発症リスクを上げる要因としては、「出産していない」「閉経時期が遅い」「肥満」などがあり、これらは共通して女性ホルモンであるエストロゲンが長期にわたって子宮内膜を刺激していることによるものです。一方、糖尿病や遺伝などエストロゲンとは無関係に発症することもあります。子宮体がんと診断されるのは1年間に10万人あたり22.8人。40歳代から増加し、50歳代が最も多くなります。治療法は手術で子宮と卵巣・卵管を切除することが基本です。
出典:
国立がん研究センター がん情報サービス「それぞれのがんの解説」
国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」(2015年)
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2021年9月更新